2005 Fiscal Year Annual Research Report
イラン・ファルス地方シヴァンド川ダム建設に伴う歴史資料・遺跡救済プロジェクト
Project/Area Number |
17401018
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
片岡 一忠 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (50092515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常木 晃 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (70192648)
山内 和也 東京文化財研究所, 国際文化財保存修復センター, 室長 (70370997)
西山 伸一 東京文化財研究所, 国際文化財保存修復センター, 特別研究員 (50392551)
久田 健一郎 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教授 (50156585)
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Keywords | 東洋史 / 考古学 / イラン / ファルス地方 / シヴァンド川 / 遺跡救済 / ダムサイト / アケメネス朝ペルシア |
Research Abstract |
イラン南部ファルス地方に流れるシヴァンド川にイラン政府がダム建設を計画したのは1992年であった。しかしながら、同国文化遺産庁が、ダム建設用地内にアケメネス朝ペルシア時代の碑文や王の道を初めとした多数の歴史的文化財が存在し、それらが水没の危機に瀕していることを認識したのは、ごく最近になってからであった。2004年、文化遺産庁は同地区を外国隊に開放し、碑文などの歴史資料や遺跡の緊急発掘事業への参加を呼びかけた。本研究はこの要請にこたえて、救済プロジェクトを実施することを目的とする。具体的には、同地区の歴史資料・遺跡の詳細分布調査を行い、それ自体が歴史資料となりえる時代ごとの詳細遺跡地図を作成すること、および緊急性を要する遺跡の発掘調査で、同地区の歴史保全に貢献する。 2005年度には、7月から8月にかけて、大きく2つの現地作業を実施した。第1に2ヶ所の先史時代洞窟遺跡の発掘調査、第2に衛星画像を活用した詳細遺跡分布調査である。前者に関わる調査では、BV75遺跡、BV130遺跡においてトレンチ発掘調査を実施し、いずれからも旧石器時代終末期から新石器時代にかけての文化層を検出し、大量の石器類が出土している。これまでファルス地方では、人類の歴史の大転換点である旧石器時代から新石器時代への変換に関わる遺跡調査は皆無であったが、私たちの調査により、ザグロス山脈東部のファルス地方にも、この重大な転換期の文化層が存在していたことが明らかになった。 第2の詳細遺跡分布調査では、衛星画像の打ち出し地図上に直接遺跡をマッピングしていった。その結果、これまで明らかにされてこなかった盆地東西にぬける移牧ルートなどを解明することができた。またいわゆる王の道のルートの確定と、その機能に対するあたらな仮説を提示するに至った。
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Research Products
(3 results)