2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17401024
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
青山 和夫 Ibaraki University, 人文学部, 教授 (70292464)
|
Keywords | 考古学 / 先史学 / 文化人類学 / 国際情報交換 / 多国籍 / マヤ文明 / アグアテカ遺跡 / セイバル遺跡 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中米グアテマラ共和国のパシオン地域のアグアテカ遺跡およびセイバル遺跡をはじめとする周辺遺跡に住んだ支配層と農民の住居跡の発掘調査で出土した遺物の分析を通して、古代マヤ人の日常生活と社会経済組織の基礎的研究を実施することである。古典期後期(後600〜830年)のアグアテカ都市中心部では、自らが支配層に属し書記を兼ねる工芸家が、王をはじめとする世帯外の他の支配層のために美術品と実用品の両方を半専業で生産した。アグアテカの古典期マヤ社会では、世界の他の古代文明と同様に、「真の専業工人」は存在しなかった。支配層を構成したアグアテカの男性と女性の工芸家は、異なった状況や必要性に柔軟に対応して複数の社会的役割を果たしたのである。セイバル遺跡の9世紀の王宮を発掘し、その壁を装飾した漆喰彫刻が出土した。さらにセイバル最大の神殿ピラミッドの前の層位的発掘調査を実施した結果、その深さは7.5mに達し、前1000〜前400年の3つの建造物の増改築を確認できた。セイバルの初期の建設活動は、従来考えられていたよりも盛んだったのである。さらに前700〜前400年の重要人物の墓が出土した。完形土器の下から、海の貝製品(古典期の書記のインク入れに似ている)、翡翠製品、黒曜石製石刃13点が副葬されていた。これは、メソアメリカ最古の13点の石刃の副葬である。高倍率の金属顕微鏡を用いて使用痕を分析した結果、13点全てが使用済みであり、主に木の加工に使われたことがわかった。いずれにしてもこの重要人物は13の数字の概念を知っていたのである。セイバルは、前1000〜後1000年の約2000年にわたる政治経済組織の通時的研究(マヤ文明の起源、王権や都市の盛衰)に理想的な遺跡といえる。
|
Research Products
(15 results)