2005 Fiscal Year Annual Research Report
エジプト・アラブ共和国 ダハシュール北遺跡の考古学調査
Project/Area Number |
17401027
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
長谷川 奏 早稲田大学, エジプト学研究所, 助教授 (80318831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 作治 早稲田大学, 国際教養学術院, 教授 (80201052)
近藤 二郎 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70186849)
馬場 匡浩 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (00386583)
中川 武 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30063770)
平田 和明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (50139648)
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Keywords | ダハシュール北遺跡 / 新王国時代 / 墓地 / 中王国時代 / ミイラ / マスク / 木棺 / ラメセス朝 |
Research Abstract |
ダハシュール北遺跡は、2005年度からの科研調査では、新王国時代の墓地の西端に位置する朗誦神官タの墓の周囲の構成を明らかにすることを課題とした。2004年度に発見された未撹乱の埋葬(ミイラ)は大きな手懸りとなるために、夏・冬2度の調査を行った。夏調査では、まずミイラの木棺の碑文解読を行い、ミイラが軍事司令官セヌウという人物であることを明らかにした。木棺にはセヌウの死後の安寧のために、神々に与えられる供物の碑文が記されており、年代は中王国第13王朝時代と推定された。カルトナージュ製のミイラ・マスクは、顔を黒く、髪と眉は青く塗彩され、両耳と付け髭は木製であった。ミイラは全体が良質な亜麻布で覆われ、身長は150cm強と推測された。CT-scan撮影の結果、頭型は長頭型、歯の摩耗は強度、年齢は熟年〜老年であり、下顎角の形態等から男性と推定された。マスクの保存には、クリーニング、整形、強化において強みを発揮するアクリル樹脂(パラロイドB72)が極めて効果的であった。ポータブル型複合X線分析装置を使った顔料調査では、棺の内側の白色は炭酸カルシュウム、木棺の表面の薄黄色は硫酸カルシュウム2水和物等、ホルスの目付の青色はエジプシアンブルーと判明した。保存研究班は、石灰岩建造物遺構の結露水による劣化止策として、撥水性のシリコーン樹脂を含浸させて、水の浸透を阻止する処置が有効と考え、国内で実験を進めている。冬調査は、タの墓の西側約600m^2を調査対象とした。発掘調査の結果、このエリアには14基の墳墓が分布していることが明らかになり、当該調査ではこのうち5基を完掘した。これらの墳墓からは、新王国時代ラメセス朝時代のアセンブリッジが出土したが、中王国時代の墳墓と同じ軸線をもつ墳墓も7基みつかったため、前身に中王国時代の墓域があった可能性が検討された。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Preliminary Report of the Waseda University "Excavations at Dahshur North : Tenth Season, 2004-2005"2006
Author(s)
Yoshimura, S., Baba M., Kondo, J., Hasezawa, S., Nakagawa, T.
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Journal Title
Waseda Global Forum no,2
Pages: 1-8
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