2006 Fiscal Year Annual Research Report
エジプト・アラブ共和国 ダハシュール北遺跡の考古学調査
Project/Area Number |
17401027
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
長谷川 奏 早稲田大学, エジプト学研究所, 助教授 (80318831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 作治 ユネスコ世界遺産研究所, 客員教授(非常勤扱い) (80201052)
近藤 二郎 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70186849)
中川 武 早稲田大学, 理工学学術院, 教授 (30063770)
平田 和明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (50139648)
西浦 忠照 国士舘大学, イラク古代文化研究所, 教授 (20099922)
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Keywords | ダハシュール北遺跡 / 墓地 / 中王国時代 / 新王国時代 / ミイラ / マスク / 木棺 / 埋葬 |
Research Abstract |
本研究は、エジプトのダハシュール北遺跡の南西端を研究実施地区とする。新王国時代第20王朝頃に建造されたと推測される神殿型平地墓(朗諦神官タの墓)周囲の800m^2ほどのエリアを対象とし、(1)造墓活動の歴史的背景を探り、(2)埋葬の手法・技術を明らかにし、(3)遺構と遺物の保存手法を策定する、の3点を課題とする。平成18年度調査では、タの墓の周辺に分布している墳墓から、盗掘を受けていない、新王国時代の完全な埋葬資料1つ(アメン神殿の上級職人ウィアイ)と、中王国時代の完全な埋葬資料2つ(葬祭神官セベクハアトと妻セネトイトエスの夫妻)を発見する大きな成果が得られ、国内・国外の双方で大きく報道された。前者は地表面から1.5mほどに掘り込まれた墓坑からみちかり、黒色のビチュメンが塗布された人型棺である。後者は地表面から3.6mほどの深さで南北に分かれた部屋からそれぞれ出土し、多彩色に彩られた長方体の木棺には、カルトナージュ製のマスクをつけたミイラが埋葬されていることが判明している。今期はこれらの埋葬資料を現地の倉庫に安全に移送し、現況の細部記録を行ない、今後の研究に備えた。またこれらの発見によって、研究対象地域には、同じ軸線方向をもつ7基ほどの墳墓が中王国時代の墓域があり、それが新王国時代に再利用されたことはほぼ確実となった。そこで、岩盤を掘り込んだ地下の埋葬室を中心とする墳墓の構造と構築技術を把握し、出土した副葬品(レリーフ、土器、副葬人形、装飾晶等)に対しては、遺物に記された銘文の解読成果を総合して、被葬者の人物像を探ると共に、製作技術に関する観察を行い、墓地造営の年代づけと遺物の編年作成に備える作業を行なった。
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Research Products
(6 results)