2007 Fiscal Year Annual Research Report
エジプト・アラブ共和国 ダハシュール北遺跡の考古学調査
Project/Area Number |
17401027
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
長谷川 奏 Waseda University, 付置研究所, 准教授 (80318831)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 作治 早稲田大学, ユネスコ世界遺産研究所, 客員教授(非常勤扱い) (80201052)
近藤 二郎 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70186849)
中川 武 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30063770)
平田 和明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (50139648)
西浦 忠輝 国士舘大学, イラク古代文化研究所, 教授 (20099922)
|
Keywords | ダハシュール北遺跡 / 墓地 / 中王国時代 / 新王国時代 / ミイラ / 埋葬 / シャフト掘削 / 保存修復 |
Research Abstract |
平成19年度は、中王国時代の埋葬がみつかったタの墓の南側のさらに南方側を中心にして、発掘調査を行った。発掘調査の結果、19基のシャフトと4基の単純埋葬が発見された。発掘されたシャフトの多くは、南北の軸線を有し、シャフト内部の掘削技法も、これまでの調査で指摘されていたのと同様、中王国時代に特徴的なものであった。これらのうちのいくつかからは、箱型の木棺でアイパネルを有するものやビール壺等の土器群のセットなど、中王国時代に固有な遺物も多数とり上げられた。一方、東西の軸線を有するシャフトからは、新王国時代第18王朝後期のアマルナ時代前後に位置づけられる石製ステラ等、新王国時代に特徴的なセットもみつかり、前身時代の遺構が再利用されたことを窺わせた。平成19年度調査は、平成17年度に計画した「ダハシュール北遺跡の中で、タの墓の周辺構造を明らかにする」という目的の最終年次にあたる。今回の発掘によって、タの墓周辺に分布する新王国時代の墓域には、中王国時代の墓地が形成されていることは明らかとなった。この結論は、1997年に調査が開始されて以来、ダハシュール北遺跡が新王国時代の墓地であるとしてきた編年観を大きく塗り替えるものとなった。さらに、メンフィス地域の墓地形成の背景という大きな課題を追求して行く上で、これらの学術的に有用な資料をいかに保存修復していくかという課題についても、遺構・遺物の双方に対して精査な環境観察が行われ、1年を通しての厳しい自然環境の中での劣化に対する対応策など、基本的な指針が提言されたのがもう一つの成果となった。
|
Research Products
(7 results)