2006 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピンにおける地方政府のガバナンス-開発評議会の機能を中心に
Project/Area Number |
17402010
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西村 謙一 大阪大学, 留学生センター, 助教授 (40237722)
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Keywords | フィリピン / 地方政府 / 1991年地方政府法 / 開発評議会 / バランガイ・キャプテン / NGO / 市民参加 / 地方分権 |
Research Abstract |
昨年度に続き、開発評議会の実態を見るため、2006年8月〜9月と2007年3月に現地調査を行った。今年度の調査地は、マニラ首都圏ケソン市とカビテ州、ラ・ウニオン州の州都サン・フェルナンド市である。 ケソン市では、開発評議会が2006年8月に開発プロジェクト案を決議としてとりまとめたことが確認された。この間、評議会議員が評議会にどのような姿勢に臨んできたのか、市長が評議会をどのように活用しようと考えたのか等について、聞き取り調査を行なった。評議会メンバーの態度が評議会の成否を決める重要なポイントであると考えたからである。その結果、特にバランガイ・キャプテンにおいて評議会の機能についての理解が不十分であること、市長は自らの開発プロジェクトの正当性確保の手段として評議会を利用していること等が明らかになった。 また、サン・フェルナンド市は、現市長が就任した1998年以来、継続的に評議会が存在してきた自治体である。他の自治体と比較して早い段階に評議会が設置された理由を探ることと、評議会の実態を見ることが調査の目的であった。暫定的な結論としては、市長にNGO活動歴があることが、早期に評議会が設置された理由の1つであると考えられる。また、評議会メンバーの評議会についての理解度も、ケソン市と比較して高いように見受けられた。 なお、ケソン市の事例に関しては、2006年11月11日・12日に東京で開催されたThe First Philippine Studies Conference of Japanにおいて"People's Participation in the Local Governance in the Philippines"と題して報告を行なうとともに、同タイトルのペーパーを提出し(未刊行)、また、同月18日に京都大学で開催された東南アジア学会関西地区の「比較のなかの東南アジア」研究会で「地方自治への市民参加の制度化は可能か?-ケソン市開発評議会の事例を中心に」と題した報告を行なった。
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