2007 Fiscal Year Annual Research Report
パブリック・ディプロマシーにおけるグローバル・メディアの役割と国家戦略の調査
Project/Area Number |
17402014
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
井上 泰浩 Hiroshima City University, 国際学部, 教授 (50347613)
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Keywords | パブリック・ディプロマシー / 外交 / 広報外交 / メディア / 政治コミュニケーション / 国際関係 / グローバル・メディア / ニュース |
Research Abstract |
最終年度では、アメリカにおいてパブリック・ディプロマシーの文献調査、聞き取り調査、また、世界にニュースや文化コンテンツを発信する拠点でもあるニューヨークにおいてメディア企業や資料館において調査を行った。また、国内においては日本に対する外国人の意識形成や態度決定に対して非常に影響が大きいと考えられている大衆文化、特にアニメについて前年度に引き続き調査を行った。 3年間に及んだ本研究により、パブリック・ディプロマシーにおいて重要な役割をもち、かつ、対外国意識や世論に対して非常に大きな影響力を持つ二大要素は、国際ニュースと大衆文化であるという結論に至った。もちろん、伝統芸術や現代文化などを海外で上演すること、人びとの国際交流、また、環境、紛争解決など世界的な問題に対して国家がどのような役割を担い、どのような活動を行っていくかということもパブリック・ディプロマシーや体外国意識形成にとり重要なことだ。特に、文化と人的交流の影響力は持続性もあり、非常に重要である。 しかし、実際に交流に関われる人の数も範囲も特定の社会的属性に限られる傾向があり(例えば、国際交流では社会階層の上部の人がほとんどを占めていると考えられる)、国という単位でみると影響力は限定的であると推測される。また、国際貢献においても、そもそも報道され外国の人々に認知されない限り、人びとの意識下では存在がないと同然である。さらに、善意の国際貢献が批判的に報道されてしまうと、逆効果になるという点も無視できない。こうした理由もあり、メディアによって伝えられる国際ニュースやアニメなどは、パブリック・ディプロマシーにおける「主役」と考えられる。
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Research Products
(1 results)