2005 Fiscal Year Annual Research Report
白亜紀松の地球外天体衝突による短期・長期的地球表層環境擾乱の実態解明
Project/Area Number |
17403005
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松井 孝典 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (80114643)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 隆治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30143366)
田近 英一 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (70251410)
後藤 和久 東北大学, 大学院工学研究科, 助手 (10376543)
長谷川 卓 金沢大学, 理学部, 助教授 (50272943)
豊田 和弘 北海道大学, 地球環境科学研究科, 助教授 (10207649)
|
Keywords | 地球外天体衝突 / 白亜紀 / 第三紀 / キューバ / 津波 / 生物大量絶滅 |
Research Abstract |
本年度は,キューバ中部(ロマカピロ,フォメント地域)において現地調査を行った。予察的調査によれば、同地域では白亜紀/第三紀(以下、K/T)境界層および上下の堆積層の露出が良く、衝突による地球表層環境の長期的擾乱過程を詳細に調べることができると考えられる。そこで、両地域において地質調査を行い、K/T境界層およびその上下層の試料を高解像度で採取した。当初予定の陸上掘削は、本年度中に許可が下りなかったため、実施には至らなかった。 ロマカピロ地域:同地域では、天体衝突後の長期的な地球表層環境変動を明らかにするため、K/T境界層から第三紀の堆積物にかけて、数cm〜数10cmの高解像度で試料採取した、そして、同地域のK/T境界層の上位約30cmから採取した泥灰岩試料から、浮遊性有孔虫と抽出性有機物を抽出し、予察的に検討した。その結果、浮遊性有孔虫(>63μm)は、主にマーストリヒチアン期のものであった。また、保存が良い個体について走査型電子顕微鏡で観察した結果、ポア、キール、表面装飾や口孔は良好に保存されていたが、殻内は埋まり、殻表面には方解石の再結晶が確認された。一方、抽出性有機物からは、陸上高等植物に由来すると考えられる長鎖ノルマルアルカンが最も主要な化合物として検出された。海洋起源の有機化合物は、ほとんど確認されなかった。 フォメント地域:同地域では、K/T境界層が連続的に露出しており、衝突直後の海洋擾乱過程を詳細に調べることができる。そのため、本調査では露頭をクリーニングして堆積構造を詳細に観察・スケッチした。その結果、堆積層は複数のユニットからなり、津波第一波によって形成されたと考えられる最下部ユニットは衝突クレータに向かう引き波から始まっていることを確認した。これは、キューバ西部で見られる特徴と共通している。また、同層上部には衝突起源と考えられるスフェリュールが大量に濃集していることを確認した。
|
Research Products
(6 results)