Research Abstract |
天然ゴムスモークシート(RSS)製造所の乾燥炉,製造所内およびその周辺環境で粒子濃度および化学成分変動,ガス状汚染物質濃度を通年測定した。また,気象データ,RSS生産量を用いた考察から,生産量と大気中PAHs濃度およびバイオマス指標値の間には明確な相関があること,PAHs濃度はバックグランド値の最大7〜8倍に達すること,発生汚染物資の季節風による輸送の可能性などを明らかにした。新たに試作したナノ粒子サンプラを用いて煙粒子を粒子径別に捕集・分析し,ナノ煙粒子中のBaP濃度・比率が高いことを示した。 作業所内数カ所と同一箇所の異なる高さで,粒子・ガス状汚染物質濃度を測定した。また,作業者の個人粒子暴露を評価した。この結果,高さ2.5〜3m以上の上部空間では,粒子濃度が作業所床面付近の5〜6倍あり,高さ方向の濃度差が大きいことを確認した。個人暴露PAHs濃度は約7.3BaP-TEQ ng/m^3であり,アスファルト敷設作業と類似することを確認した。作業所建物設計図に基づいて汚染物質流動数値解析の準備を行った。 作業者の環境対策への意識と呼吸器系の疾患に関する聞き取り調査を実施した結果,作業者が煙を最も不快に感じること,性能が良く,使い方が容易な環境対策への強い要望,咳や胸の不快感などの呼吸器症状を持つ者が多いことを明らかにした。 木材燃焼煙中のPAHsを効果的に分解できる手法として,軟X線を燃焼煙に照射する手法に検討を加え,数十マイクロ秒の照射時間で60%以上分解可能なことを示した。 掘削などの外乱,干上がり等の履歴を経ていない湖沼に可能性をもつ湖としてタイにおける天然ゴム栽培の発祥地であるTrang県の湖を選定し,2006年6月に同湖の予備調査を行った。2006年11月に,湖形成時の地層を含む環境変動の議論に適した非常に良いサンプルを得た。また,コアサンプル分析のための準備を行った。
|