2006 Fiscal Year Annual Research Report
オセアニア海域における天然由来脂溶性ハロゲン有機化合物の環境起源調査
Project/Area Number |
17404006
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Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
原口 浩一 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (00258500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 哲也 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (10133216)
森木 幸恵 第一薬科大学, 薬学部, 助手 (50412549)
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Keywords | 有害化学物質 / 天然物 / 環境 / 分析化学 / 臭素化合物 / 海綿動物 |
Research Abstract |
1 アジア・オセアニア海域の海産物の収集と化学分析 沖縄、小笠原諸島、台湾およびオセアニア(オーストラリア、ニュージーランド)の海域に生息する生物(魚介類)を収集し、組織内に残留する脂溶性ハロゲンの探索を行った。 (1)海綿中の脂溶性成分のうち、2'-methoxy-2,4,3',5'-tetrabromobiphenyl, 6-methoxy-2,4,2',4'-tetrabromodiphenyl ether, 2',6-dimethoxy-2,4,3',5'-tetrabromodiphenyl etherが、オセアニア海域の魚介類から検出され、新たに2,2'-dimethoxy-3,5,3',5'-tetrabromobiphenylおよびmethoxylated tribromodiphenyl etherが台湾、小笠原諸島の魚介類から検出された。それらの分布は、日本近海産のそれと異なることが分かった。 (2)mixed halogenated 1,1'-dimethyl-2,2'-bipyrroles数種が日本近海の魚介類から検出されたが、オセアニア海域からは検出されなかった。残留性ピロール系化合物の起源は台湾、小笠原諸島以北に局在すると思われた。検出されたこれらの化学物質は、生物活性試験のため合成中である。 2 日本沿岸に漂着したシャチおよびカズハゴンドウの化学分析 (1)シャチの体内で同定した天然由来ハロゲン数種は、人工化学物質(PCB)などと比較しうる濃度で組織中に残留していることを確認した。これらは、上記天然由来産物の食物連鎖による生物濃縮の結果と推定された。 (2)シャチ体内(脂肪組織および肝臓)中にPCB代謝物(MeSO_2-PCB, OH-PCB)が検出され、その化学構造を明らかにした。シャチではカズハゴンドウより2桁ほど高い代謝物の残留濃度であるため、シャチはアザラシや北極熊同様に高いPCB代謝能を有する生物であることがわかった。 (3)シャチの体内(肝臓、腎臓、筋肉)の重金属分析を行い、水銀のセレンに対する濃度比は肝臓で高いこと、水銀およびカドミウムのシャチ母仔移行はわずかであること、マンガン、銅は母よりも仔の筋肉に高濃度であることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)