2006 Fiscal Year Annual Research Report
浅い湖沼の再生法の確立を目的としたシャジクモに覆われた湖沼の観測
Project/Area Number |
17404008
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
浅枝 隆 埼玉大学, 大学院理工学研究科, 教授 (40134332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 毅 埼玉大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (70282431)
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Keywords | 車軸藻 / 湖沼 / 水質 / 骸泥層 / リン除去 / マイオール湖 / 沈水植物 / 安定同位体比 |
Research Abstract |
本年度は、オーストラリアNSW州マイオール湖において、昨年度明らかになったシャジクモ群落が栄養塩類吸収の機構の詳細調査、わが国の湖沼における調査、室内分析、さらに、実用化、モデル作りのために、既存のデータを整理して、より実用化に向けた作業を行った。 現地観測から昨年度までの結果のほかに、以下のような結果が得られた。 栄養塩吸収に関する結果 1.シャジクモ群落によって生ずる土壌(骸泥層)は極めて安定で貧酸素な状況にあること、また、その結果として、土壌中のアンモニア濃度に比較して、リンおよび硝酸濃度が極めて低くなることが明らかとなった。 2.このため、骸泥層内では、N/P比が極めて大きくなる。そのため、シャジクモが窒素を吸収する際に、激しい安定同位体元素の分別が起こる。その結果として、シャジクモ体内に取り込まれる窒素の安定同位体比は極めて小さくなり、負の値となる。 シャジクモ群落形成に関する結果 3.大規模なシャジクモ群落が形成される際には、まず、極めて小規模な群落が形成され、それが、骸泥層を形成、徐々に厚さを増加させること。 4.この骸泥層は極めて柔らかいことから他の種の侵入が妨げられることから、シャジクモ自体の光をめぐる競争能力はきわめて弱いにもかかわらず、純群落の形成が可能になる。 わが国の湖沼における現状の調査結果 5.わが国の湖沼においては、シャジクモの減少がみられるが、この原因として以下のようなことが機構による。元来、シャジクモ群落は深い場所から浅い場所に分布しており、浅い領域では他種と混合群落を形成、他種が侵入不可能な深い領域にはシャジクモ帯を形成していた。しかし、富栄養化に伴う光量の減少によって、シャジクモ帯が消滅、浅い領域に局所的に残された群落は、護岸や湖岸の開発等によって消滅した。しかし、水田からの流入が多い湖沼における消滅が有為に多いことから、農薬、除草剤等の影響も考えられる。 モデル作成作業 以上のような結果を元に、水質との関係を表すモデルの基本形を作成した。
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Research Products
(6 results)