2006 Fiscal Year Annual Research Report
カリマンタン島カハヤン川の金採掘に伴う水銀汚染の実態調査
Project/Area Number |
17404011
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
井上 隆信 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (00184755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永淵 修 千葉科学大学, 危機管理学部, 教授 (30383483)
山田 俊郎 国立保健医療科学院, 水道工学部, 主任研究官 (30335103)
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Keywords | 水銀 / 金採掘 / 水質汚染 / 毒性 |
Research Abstract |
今年度は、2006年8月15〜24日、2007年1月7日〜14日、2月18日〜25日の3回現地調査を実施した。その他、9月には、パランカラヤ大学で開催されたシンポジウムにおいて、中央カリマンタンの水銀汚染に関する発表を行った。 8月は乾季、1月と2月は雨季で、水位が低下時と上昇時のサンプルの採取が行えた。水位が低下しているときには、若干濃度は高いもののカハヤン川本川の河川水中の総水銀濃度は前年度の調査と同様に、0.05μg/L以下と日本の環境基準の0.5μg/Lの1/10以下であった。しかし、金採掘の盛んな地域の支川では0.2μg/L程度の濃度も観測され、金採掘近傍の地域では高濃度になる可能性があることがわかった。河川底質の総水銀濃度は、昨年と同様に0.01〜0.1mg-Hg/kg-DWであり、他の汚染地域と比べて高くなかった。魚中の濃度は0.02〜0.5mg-Hg/kgであり、特に底生魚のナマズの一種で高かった。最高濃度は、厚生労働省が発表した「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」で2週に一度の摂食が望ましいとされる魚と同程度の濃度(注意が必要な魚の4段階のレベルで上から3番目)であった。カハヤン川沿いには部落が点在し、農業と漁業により自給自足的な生活をしている。イスラム教徒の割合が高く豚肉と牛肉は食べないため、魚は鶏肉とともに重要なタンパク源となっている。 これらのことから、現時点では金採掘に伴う水銀排出による河川の水銀汚染が深刻な状況までに至っていないと考えられるが、魚を通して、人体への影響が懸念される状況であり、今後のさらなるモニタリングが必要な状況であった。
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