2007 Fiscal Year Annual Research Report
ユーラシア大陸におけるマルハナバチ群集の営巣行動と遺伝的多様性についての研究
Project/Area Number |
17405004
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
徳永 幸彦 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (90237074)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五箇 公一 国立環境研究所, 侵入生物研究チーム, 主任研究官 (90300847)
|
Keywords | マルハナバチ / DNAマイクロサテライト / 営巣行動 |
Research Abstract |
海外調査においては、フィンランドにおけるカウンターパートであるPekka Pamilo博士の協力により、Helsinki郊外のTvarminne Zoological Station(TZS)に滞在し、マルハナバチ群集を調査した。Triforum mediumにBombus Iucorum, B. hypnorum, B. hortorum、 B. pascuorumなどの女王が訪花しており、寄生性のPsithyrus bohemicusも目撃した。このことから、TZSはまだ創設女王が営巣初期の段階であり、巣を発見/掘り出すことが不可能だった。続くFiskarsにおいても、B. bypnorumとB. lapidariusの営巣初期ワーカーを目撃するも,巣は発見できなかった。次の調査地であるデンマークのBillundにおいては、B. terrestrisの巣を2つ見つけるも、どちらも営巣初期で、掘り出し、DNAデータのサンプルが得られる状態ではなかった。ただし、Billundの彫刻公園とその近隣の森林は、多様な植物群集の中に多数のマルハナバチを見いだすことができ、マルハナバチ群集調査に最適な環境であることが分かった。続くHelsinkiの調査では、昨年巣を発見したSeurasaariにおいてマルハナバチの個体数が異様に少なく、P. bohemicusを多く目撃した。Seurasaariにおいて成果が見込まれないことから、Kaivo Kuistoに移り、そこで1つB. lapidariusの巣を見つけるも、天候不順のため、巣を掘り出すことができなかった。帰国後、Pamilo博士とのやりとりから、本年度は異常にマルハナバチの目撃個体数が少なかったという報告を受けた。この傾向は日本でもまったく同じであり、地球規模でマルハナバチにとって受難の年であったらしい。国内調査では、長野県入笠山と筑波山、および日光においてマルハナバチ群集の調査をおこなったが、巣の発見には結びつかなかった。昨年と引き続き、DNAデータから巣数を推定する方法の改良を重ね、精度の向上した改訂版を発表した。巣への誘因要因を探る予備実験として、他個体に引き寄せられるマルハナバチの採餌行動を研究し、Proc. R. Soc. London: Bに発表し、高い評価を得た。
|
Research Products
(3 results)