2007 Fiscal Year Annual Research Report
アジア熱帯における生物の分断と分散 -獣糞にすむ動物群集の生物地理学的研究-
Project/Area Number |
17405011
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大原 昌宏 Hokkaido University, 総合博物館, 准教授 (50221833)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高久 元 北海道教育大学, 教育学部札幌校, 准教授 (40236203)
岩佐 光啓 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (00168551)
近 雅博 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (00211912)
小林 憲生 北海道大学, 総合博物館, 資料部研究員 (00400036)
|
Keywords | 生物地理 / 節足動物 / 東南アジア / インドネシア / 人為分布 |
Research Abstract |
アジア熱帯は生物多様性が高く、複数の生物地理区が存在し、かつ多くの島に分断されているため、最適な進化の実験フィールドとして多くの研究がなされてきた。しかし、アジア熱帯における過去数千年の人が生物分布に与えた影響については、あまり研究がなされていない。本研究では、人とともに分布を広げた家畜牛の糞に生息する節足動物(ダニ・昆虫)に着目し、人と牛糞内節足動物群集のかかわりを生物地理学的に解明することを目的とした。 アジア熱帯の家畜牛および野生牛の糞に生息する節足動物を調査し、その群集内における種・個体群の地理的分布がヒト・家畜の分布拡大様式と一致する程度を、形態分類学的および分子系統学的手法を用いて解析した。 具体的には、ダニ類・昆虫類(鞘翅目:エンマムシ科、ガムシ科、ムクゲキノコムシ科、ハネカクシ科、コガネムシ科;双翅目:フンコバエ科、ツヤホソバエ科)を研究対象とし、分類学的、生物地理学的研究を行った。またダニ類については、分子を用いて、種間・個体群間系統樹(分岐図)を描き、地理的分断順序あるいは家畜分布拡大順序と比較した。また個々の種・個体群の由来を、在来哺乳類の獣糞に求め探索した。 こららの結果から、島間距離、島サイズなどの関係が「分断・分散・時間スケール(地史から人為撹乱まで)」として相互作用し、島ごとの群集の種構成形成に影響をおよぼしていることが示唆された。分類学的成果は多く、3年間で45論文が発表され、27新種1亜種が記載された。平成19年度は18論文が発表された。
|
Research Products
(18 results)