Research Abstract |
平成19年2月,研究協力者二名とともにタイを訪問し,プーケット海洋生物学センターなどで,ナガスクジラ科鯨類標本約50個体について形態学的ならびに分子生物学的な種判別を行い,ツノシマクジラ(Balaenoptera omurai),ニタリクジラ(B.brydei),カツオクジラ(B.edeni)を確認した.研究実績は以下のように要約される.A.分子生物学的調査:調査標本について分子生物学的研究用の硬組織からDNAを抽出し,ミトコンドリアDNAのD-loop及びCyt-b領域のPCRを行って,シークエンスを決定した.B.形態学的観察:頭骨調査を行ない,次項の要領で撮影するデジタル画像に,構成骨の境界を描き入れて頭骨図を作成した.C.計測,写真撮影:計測法と写真撮影については,17年度に確立したCBL(頭骨基底長)と左右眼窩の最高点で決定される基準面を設定法を用い,これによって計測と,写真撮影を行った.D.収集当時の写真により標本個体の外部形態の特徴を総括し,発見地点,発見時期などの付帯データをまとめた.E.上記のデータを整理し,外部形態(体色パターンを含む),骨形態(計測値を含む),ミトコンドリアDNAシークエンス,発見地情報に関するデータセットを作成した.F.本研究における頭骨の形態比較のためインド博物館(コルカタ)に所蔵されているカツオクジラの形態を調査する必要が生じたので平成18年11月に,研究協力者二名と同博物館を訪問し,頭骨の調査を行った 注:国内協力者は大石雅之(岩手県立博物館),田島木綿子(国立科学博物館),谷田部明子(東京海洋大学大学院博士課程在学中),鈴木夕紀(日本大学大学院修士課程在学中)の四名である.
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