2007 Fiscal Year Annual Research Report
新種ツノシマクジラの東アジアにおける分布と棲息環境に関する研究
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17405017
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
山田 格 National Museum of Nature and Science, Tokyo, 動物研究部, グループ長 (70125681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 志郎 (独)水産総合研究センター中央水産産研究所, 資源評価部, 上席研究官 (50371828)
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Keywords | 分類学 / ナガスクジラ属 / 東アジア / 形態学 / 分子生物学 |
Research Abstract |
実施内容 当初計画通り,中国並びに韓国を訪問し,博物館,大学,研究施設などに保存されているナガスクジラ科鯨類標本17個体について形態学的な種判別を行い,ツノシマクジラ(Balaenoptera omurai)4,カツオクジラ(Balaenoptera edeni)10標本を確認した。これらのうち15標本からDNA解析用のサンプリングを行いDNAの抽出作業を行った。また,これらの標本のうち程度のよいものについて高精細デジタル写真撮影を行い画像データベースの作成作業を行った。なお,国立科学博物館後援会の資金援助をも受けて南アフリカ共和国とマレーシアで13個体のナガスクジラ属鯨類の調査を結果、マレーシアではカツオクジラ2標本を確認したが、特に南アフリカ共和国で調査した9個体は、形態学的に従来判明していたニタリクジラとは異なることを発見した。 結論 現在のところツノシマクジラの西限はアンダマン海からインドネシア沿いの海域であり、ニタリクジラ型の種には日本周辺を中心とした北太平洋に分布している個体群と,フィリピン周辺以西のインド-太平洋に分布する個体群とは頭骨形態に小さいながらも相違のある可能性が見られることが明瞭になった。また、海域によってはカツオクジラと類似のニッチェを棲み分けている可能性が示唆される。 今後の課題 いわゆるニタリクジラの地理的な変異(外部形態、頭骨をはじめとする骨格の形態、分子生物学的知見などを含む)の精査、従来から問題であったカツオクジラのタイプ標本の分子生物学的調査を推進していかなければ、いわゆるニタリクジラとカツオクジラの分類学的な理解の確立は困難であることが明らかになった。 成果発表 国立科学博物館後援会の資金援助をも受けて南アフリカ共和国で開催された国際海棲哺乳類額会議では、17及び18年度の本研究費の補助を受けて遂行した研究結果を報告した。
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Research Products
(3 results)