Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥井 清司 京都大学, 農学研究科, 助教授 (40026563)
森 義昭 京都大学, 学術情報メディアセンター, 助教授 (60026474)
間藤 徹 京都大学, 農学研究科, 教授 (50157393)
田中 樹 京都大学, 地球環境学堂, 助教授 (10231408)
森田 勝子 京都大学, 農学研究科, 助手 (20293912)
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Research Abstract |
タイ,バンコック近郊農家を訪問し,どのような化学肥料や農薬が使用されているかの調査を行った.また,畑地の土壌を採取した.その畑地土壌を用いて,現地で頻繁に使用されている殺虫剤,アバメクチンの分解試験を行った.アバメクチンは日本では登録されておらず,ヒトなど哺乳類に対する毒性が高い農薬である.まず,容器内モデル実験を行うため,タイの土壌にアバメクチンを添加し,回収,分析し,回収率について検討した.回収率が測定のたびに変動するため,現在,抽出溶媒などの実験条件について検討中である.アバメクチンの分析については,LC/MSによる定量およびELISA法による農薬分析キットを用いた定量の両者を行ったが,いずれにおいてもほぼ等しい値が得られた.このことから,LC/MSのような高額の分析機器がなくても,農薬分析キットを用いて,現地で農薬分析を行う可能性が示された.肥料については,リンの大部分は土壌中に残留していたが,窒素のほとんどは地下水に流れ,地中には残留していないことがわかった.現地の農薬販売所,農薬会社,農業省の分析研究所などにおける聞き取り調査より,現地ではジェネリック農薬が問題となっていることがわかった.すなわち,ジェネリックのアバメクチンは正規のものより安価で効果が高いため,よく売れているが,不純物としてタイで農薬登録されていない化学物質が含まれている.この不純物のヒトに対する影響は不明であるため,今後の調査が必要である.残留農薬問題は現地でも微妙な要素を含んでおり,論文化が困難であるが,現在,得られた情報についてまとめつつあるところである.
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