2006 Fiscal Year Annual Research Report
地域間DNA多型解析によるナラ枯れの媒介者カシノナガキクイムシの外来種仮説の検証
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17405028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鎌田 直人 The University of Tokyo, 農学生命科学研究科, 准教授 (90303255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光永 徹 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20219679)
濱口 京子 森林総合研究所, 森林昆虫研究領域, 主任研究官 (60343795)
後藤 秀章 森林総合研究所, 九州支所, 主任研究官 (10353682)
升屋 勇人 森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 主任研究官 (70391183)
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Keywords | カシノナガキクイムシ / 侵入生物 / 地理的変異 / Platypus koryoensis / Platypus taiheizannesis / ナラ枯れ / DNA / フェロモン |
Research Abstract |
海外調査は、台湾およびインドネシアで行った。また、H17/18年度に台湾・韓国・タイ・インドネシアで採集したサンプルを使って、DNAによる多型解析を行った。DNA解析の結果、台湾のサンプルは、日本の紀伊半島、九州南端部、南西諸島に分布しているものと同じクレードに分類され、従来のカシノナガキクイムシ(Pq)とは別クレードに分けられた。形態的にも、これらは、主に日本海側でナラの集団枯死を引き起こしているPqとは別種と考えられ、研究分担者のひとり後藤秀章が記載準備中である(以下、spl)。DNA解析の結果、日本の残りのカシノナガキクイムシ(Pq)個体群は、本州・九州本土のグループ(本土個体群)と奄美諸島・琉球諸島のグループ(沖縄個体群)のふたつのクレードに分かれた。海外のカシナガを加えたDNAによる系統解析の結果、sp1を除く日本の2つの個体群は、遺伝的距離がもっとも遠く、本土個体群-タイ-インドネシアー沖縄個体群の並びであった。この結果は、本土個体群とタイ個体群が、比較的最近枝分かれしたこと、ほんと個体群と沖縄個体群がそれぞれ別個に侵入したことを示している。今後は、分布の空白地帯となっている中国におけるPlatypus の分布を調べる必要がある。また採集記録のあるインド、ニューギニアでの採集を行い、DNA解析を行う必要がある。(1S,4R)-4-isopropyl-1-methyl-2-cyclohexen-1-olがPq集合フェロモンの主成分であることが別グループによってすでに特定されたが、我々は,主成分以外にも5つの成分にPq成虫のEAD反応があることを確認した。純粋合成品で野外実験を行い,Pq成虫の両性に対し誘引性があることを確認した。しかし,捕獲数は防除に利用できるほど多くはないものの、低密度時の検出力があがるため、今後の海外での採集調査に利用できる。
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Research Products
(2 results)