2005 Fiscal Year Annual Research Report
食品リスク解析の公共的な意思決定に資する農学系サイエンスショップの研究
Project/Area Number |
17405036
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
佐々木 市夫 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (70125384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉持 勝久 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (00091546)
関川 三男 帯広畜産大学, 大学院・畜産学研究科, 教授 (30120489)
三浦 秀穂 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (10173981)
福島 道広 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (20231558)
小池 正徳 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (00205303)
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Keywords | サイエンスショップ / コミュニティ・ベースト・リサーチ / 現場科学としての媒介専門性 |
Research Abstract |
本年度は、初めに、海外におけるコミュニティの市民と大学研究者・学生のパートナーシップによる「サイエンスショップ」(以下、SS)や「コミュニティ・ベースト・リサーチ」(以下、CBR)の本質をとり入れた使命遂行型農学研究の独創性及び必要性に関する研究会を開催した。そこで、研究代表者及び研究分担者は、本学における使命遂行型農学研究の独創性及び必要性を再確認するとともに、その中核概念である「現場科学としての媒介専門性」はなぜ今、大学の教育・研究に必要なのか、またそれを維持・促進するための制度的財政的条件は何か、について討論し、おおむね共有した。以下、海外調査に絞って研究実績を報告する。 第1回欧州調査においては、我が調査班はデンマーク工科大学及びオランダ・ワーゲニンゲン大学のSSの協力により資料収集を行い、SS運営担当者と意見交換した。欧州におけるSSの定義問題、大学とSSの展開史、そして最近のEUにおけるSS支援の始動などを確認した。さらに、欧州とわが国とを比較した場合、「市民社会の熟度の違い」という社会条件について、調査班は制度設計に当っては十分留意すべきことを共有した。 次に、第1回韓国調査においては、全北大学及び大田市民団体(Center for people's participatory research、以下、CPPR)を訪問して資料収集を実施した。全北大学では、大学執行部のSSに対する理解が低下し困難に直面している事情、CPPRでは、大学ベース型SSの困難を乗り越えようという新鮮さが確かめられた。 さらに第1回米州調査においては、トレント大学の「The Trent Center for Community-Based Education」(以下、TCCBE)及びトロント市の「Wellesley Central Health Corporation」(以下、WCHC)等を訪問し、資料収集・意見交換を行った。ここでは、特にCBRへの学生参加制度とその効果について有益な情報を得るとともに、継続的な資料収集の必要性および先方機関からその協力について快諾を頂いた。 本年度の研究全体を振り返ると、「現場科学としての媒介専門性」において、クライアント(市民)が持ち込んでくるコンフリクトや関心・懸念を受けて、「何を大事なものとし、何を無視・軽視できるものとするか」、さらに「その大事なものをどのように研究課題に翻訳するか」の安定した判断基準の構築の重要性、欧州における狭いSS定義にこだわらず、より柔軟で有効なコミュニティの市民と大学研究者・学生のパートナーシップによる農学系「サイエンスショップ」として、「農学のためのコミュニティ・大学連携」(Community-Campus Partnership for Agriculture,以下、CCPA)、の具体像などの知見を得たことが成果ということができる。
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