2006 Fiscal Year Annual Research Report
持続的なマグロ養殖業の生産管理制度に関する国際比較
Project/Area Number |
17405038
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
日高 健 近畿大学, 農学部, 助教授 (30309265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 征一郎 近畿大学, 農学部, 教授 (40017075)
山本 尚俊 近畿大学, 水産研究所, COE博士研究員 (00399099)
鳥居 享司 近畿大学, 水産研究所, COE博士研究員 (70399103)
中原 尚知 近畿大学, 水産研究所, COE博士研究員 (90399098)
北野 慎一 近畿大学, 水産研究所, COE博士研究員 (20434839)
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Keywords | 養殖 / クロマグロ / ICCAT / IATTC / 地域管理機関 |
Research Abstract |
本年度は、世界の主要なマグロ養殖産地であるスペイン、メキシコにおける資源管理と環境保全に関する管理制度の調査を行った。 スペインでは、地方政府の行政機関と研究機関を対象とした規制の細部に関する調査および主要企業を対象とした経営方法と各種規制への対応を調査した。養殖マグロの原魚採捕は、国際的な地域管理機関であるICCATが管理の枠組みを構築し、参加国がそれに従って規制を定め、運用を行う。スペインの場合は、スペイン政府がICCATの勧告に基づいた法律を定めている。特に本年度は大西洋・地中海マグロの資源減少に対応した資源管理強化の動きに対応して、監督官による監視強化の対策が導入されている。環境管理については、地方政府が担当する。地方政府は養殖漁場の設定と養殖事業の許可および養殖漁場の水質や底質に関する基準の設定を行っている。漁場環境の監視は義務付けられており、養殖業者は専門のコンサルタントを雇って監視を行い、結果を地方政府に報告している。スペイン政府の海洋研究所は、養殖漁場近辺の環境調査を実施し、影響をモニターしている。 メキシコは太平洋クロマグロの養殖生産国であり、生産量はスペインに並ぶ。同国のマグロ養殖業は、北西部のエンセナダに集中している。当地には中央政府の研究機関が立地し、マグロ・イルカ管理プログラムを持っており、状況はオーストラリアのポートリンカンに類似している。養殖原魚の採捕や育成方法はオーストラリアから導入されたものである。対象資源や漁場は、国際的な地域管理機関であるIATTCの管轄下に入るが、太平洋クロマグロの資源利用水準が適度であるため、規制の対象となっていない。このため、漁獲量の規制のみならず漁獲量の把握も行われてない。環境に関して、規制は緩いものの、赤潮や青潮による被害対策という実際上の必要性から、養殖業者による濃密な環境モニタリングが実施されている。
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