2007 Fiscal Year Annual Research Report
持続的なマグロ養殖業の生産管理制度に関する国際比較
Project/Area Number |
17405038
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
日高 健 Kinki University, 産業理工学部, 准教授 (30309265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 征一郎 近畿大学, 農学部, 教授 (40017075)
鳥居 享司 鹿児島大学, 水産学部, 准教授 (70399103)
山本 尚俊 近畿大学, 水産研究所, COE研究員 (00399099)
中原 尚知 近畿大学, 水産研究所, COE研究員 (90399098)
北野 慎一 近畿大学, 水産研究所, COE研究員 (20434839)
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Keywords | 養殖 / クロマグロ / ICCAT / IATTC / 競争優位 / ビジネスシステム |
Research Abstract |
本年度は、主要養殖産地であるメキシコとクロアチアにおける資源管理と環境保全に関する管理制度を調べるとともに、これまでの調査を総括し、国際比較を行った。 メキシコにおける主要マグロ養殖会社2社のうち1社は日本の流通会社が買収したものである。当社グループは、養殖、餌料や資材購入、加工・パッキングはグループ各社が行い、生産物は日本の本社が全面的に買い取る。しかし、原魚と餌料の採捕は現地漁業者に委託している。もう1社は従来からマグロ缶詰を製造していた現地企業である。当社は、原魚採捕、餌料採捕、資材供給、養殖管理まで同一社で行っている。販売は、資金前渡を行う日本流通会社に優先的に行う。このように両社は異なるビジネスシステムを保有している。 クロアチアは地中海諸国で第一位の養殖生産を持つが、他国とは異なり、自国沿岸で10kg以下の小型マグロを漁獲し、約一年半の養殖を行っている。大規模会社は、地中海で漁獲される大型魚を他国船から買い取る短期養殖も行っている。ICCATの規制強化によって8kg以下漁獲禁止と30kg以下出荷禁止となるため、今後、飼育コストが高騰し、原魚確保が難しくなる。 スペイン、オーストラリア、メキシコおよび日本を対象に、資源管理と環境保全の外部環境対策、ビジネスシステムについて、比較を行った。外部環境対策ではオーストラリアが優れているが、ビジネスシステムが生産から出荷の段階で途切れているため、経営上の優位点を得られない。ビジネスシステムではメキシコが優れており、しかも原魚の豊富さと原魚採捕規制の緩やかさによって競争優位を得ている。しかし、これは持続的ではない。日本は、飼育期間の長さにも関わらず市場との近接さで優位性を持つ。しかし、メキシコと同じく、資源管理の不確実さを抱えている。スペインとクロアチアは、製品の市場性では優位性を持つが、高い輸送コストと資源管理強化による原魚確保の困難さを持つ。
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Research Products
(6 results)