2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトにおける1-プロモプロパン中枢神経毒性と量-反応関係に関する疫学的研究
Project/Area Number |
17406017
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
市原 学 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90252238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉腰 暁子 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (90236737)
八谷 寛 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (30324437)
山本 直彦 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40220488)
山本 敏充 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (50260592)
市原 佐保子 三重大学, 生命科学研究支援センター, 助教 (20378326)
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Keywords | ブロモプロパン / 量反応関係 / 疫学調査 / フロン代替 / 有機溶剤 / 神経行動 / クレアチンキナーゼ / 疫学調査 |
Research Abstract |
1-ブロモプロパン(1BP)は動物とヒトにおいて神経毒性を有することがわかっている。本研究では、より多くの労働者について健康影響と曝露濃度との関係を調べた。中国の1BP製造工場の女性曝露労働者71人と年齢をマッチングさせた非曝露女性労働者71人に対し、質問紙法に基づく面接、WHO神経行動学コア検査、神経伝導速度測定、頚骨神経、腓腹神経伝導速度検査を行った。振動覚、血液学的検査、生化学検査も行った。労働環境中1BP濃度は検知管により測定するとともに、活性炭PassiveDiffusionSamplerを用いて個人曝露濃度を求めた。各健康指標を対応のあるt検定により比較するとともに、量依存的な変化の検索においては、曝露群を個人曝露量および個人曝露量と従業期間の積に従ってそれぞれ3つのグループに分けて、比較した。環境中の1BP濃度は0-80ppm(平均6.4ppm)であった。8時間の個人曝露量は0.07-106.4ppm(mean2.8ppm)であった。1BP工場に働く労働者は、対照群に比して有意に長い遠位潜時(DL,7.5±2.1msec)、低い運動神経伝導速度(44.8±8.7m/sec)、感覚神経伝導速度(45.5±4.9m/sec)をしめした。振動覚閾値も有意に上昇していた。曝露群はさらに有意に低い神経行動学的検査スコア(Sarta Ana,digit symbol, Benton test, POMS tension, vigor and fatigue)を示した。また、有意に低い白血球数、赤血球数、ヘモグロビン、クレアチンキナーゼ活性を示す一方、有意に高い血清総蛋白、LDH活性、TSH、FSHレベルを示した。量-依存的変化解析においては、量依存的な遠位潜時延長、赤血球数低下、CK活性減少、高いPOMS項目(Fatigue)および高いTSHレベルが示された。こうして量依存的な神経、血液系への影響が示唆された。
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Research Products
(23 results)