2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトにおける1-ブロモプロパン中枢神経毒性と量-反応関係に関する疫学的研究
Project/Area Number |
17406017
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
市原 学 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90252238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市原 佐保子 三重大学, 生命科学研究支援センター, 助教 (20378326)
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Keywords | フロン代替物質 / ブロモプロパン / 量反応関係 / 疫学調査 / 中枢神経毒性 / 症例 / 血液毒性 / 神経 |
Research Abstract |
我々は、すでに中国における1-ブロモプロパン曝露労働者の調査の報告を行っているが^6、その後、調査対象を拡大し、87名の女性と29名の男性を調べた。対応のあるt-検定によって、下肢遠位潜時の延長、運動神経伝導速度の低下、感覚神経伝導速度の低下が観察された。神経行動学的検査では、Santa Ana、Digit Symbol, Bentonの各検査でスコアの有意な低下が見られた。白血球、赤血球、ヘモグロビンの減少、総蛋白上昇、クレアチニンキナーゼ減少、LDH増加、TSH、 FSH減少が観察された。また、量反応関係に関しては、遠位潜時、クレアチニンキナーゼ,TSHが量依存的な変化を示した。さらに、加えて、グロビン蛋白付加物と末梢白血球数の間に負の相関があることが明らかとなり、蛋白付加物が長期曝露マーカーとして有用であることがわかった。また、我々は、新たに米国ミシシッピー州において、より重症の1-ブロモプロパン中毒症例を発見した。37歳女性、2003年10月に1-プロモプロパンを含んだ溶剤を使用し始めた。2003年12月、1-ブロモプロパン曝露開始後2ヶ月目で下肢の無感覚、チクチク感、灼熱感に気づく。同時に臀部と陰部の無感覚に気づく。2004年1月、腰から下肢にかけての感覚の異常に気づく。歩行障害発生。初診1週間前から足部に灼熱感あり。溶剤を使用しているとき、吐き気を感じた。1月28日に内科家庭医受診。1月29日歩行障害が悪化し、病院に搬送された。Tupeloに3, 4日入院し、検査をしたが、診断がつかなかった。深部反射亢進、下肢両側性の感覚低下、足の挙上不可。2段脈。上肢および、脳神経の異常は見つからなかった。入院中は理学療法を受けた。車椅子にて退院する。新しい症例は連続するアンクルクローヌスを示し、1-ブロモプロパンが中枢神経系に強い傷害作用を有することがわかった。
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Research Products
(34 results)