2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本人か韓国人におけるUGT遺伝子変異と乳がん・骨粗鬆症発生の関連性
Project/Area Number |
17406020
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
李 明鎮 神戸大学, 医学系研究科, 講師 (20273766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 久英 神戸大学, 医学系研究科, 教授 (80189258)
綾木 仁 神戸大学, 医学系研究科, 助教授 (80222701)
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Keywords | 日本人 / 韓国人 / 乳がん / UGT遺伝子 / G71R / -3279 T>G |
Research Abstract |
体内のエストロゲン代謝に関与するUDP-グルクロニルトランスフェラーゼ(UGT)の遺伝子変異は乳がんの発生に影響を与える可能性がある。研究者らは、日本人と韓国人の両民族におけるUGT1A1遺伝子変異を調査・解析し、乳がん発生との関連性を解明するための研究を行った。 1.日本人と韓国人のDNA試料の調製 前年度に引き続き、日本人乳がん患者と健常人の血液試料や韓国人乳がん患者のホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPE)試料からDNA抽出を行った。最終的に解析に用いたDNA試料の数は、日本人乳がん患者72人、日本人健常者78人、韓国人乳がん患者83人、韓国人健常者89人であった。両国の乳がん患者においてはエストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、ヒト上皮細胞成長因子受容体2に関する情報を得た。 2.DHPLCを用いたG71R変異の解析 東アジア人に多く存在するとされるG71R変異部位を含むエクソン1の領域をPCRで増幅し、遺伝子変異検出システムであるDHPLCで解析した。アリル頻度は日本人健常者と韓国人健常者が共に0.15、日本人乳がん患者が0.12、韓国人乳がん患者が0.03であった。韓国人の乳がん患者の変異頻度が著しく少なかったことより、少なくとも韓国人集団のG71R変異と乳がん発生との関連性は低いと考えられた。 3.COP-PCR法を用いた-3279T>G変異の解析 (1)UGT1A1遺伝子の転写活性を約40%低下させる-3279T>G変異を効率的に検出するため、競争的オリゴヌクレオチドプライマー(COP)とnested PCRを用いた解析法を開発した。本法を用いることで、シーケンス解析より簡便に-3279T>Gの検出が可能になった。 (2)日本人健常者と日本人乳がん患者のDNAを用いて解析した結果、アリル頻度は各々0.46と0.64で乳がん患者群が高く、-3279T>G変異と乳がん発生との関連性が示唆された。
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