2006 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカにおける女性と子どものエイズの予防と治療の向上に関する研究
Project/Area Number |
17406022
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
若杉 なおみ 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (20118459)
|
Keywords | 感染症 / ウイルス / 国際協力 |
Research Abstract |
小児エイズの診断と抗レトロウイルス薬による治療-コ-トジボワール2000余例の成績 【背景】世界の推定HIV感染者4000万人の約半数は妊娠出産年齢の女性である。HIV母子感染予防対策は感染妊婦の9%しか受けておらず、毎年70万人の小児HIV感染が発生している。また生存感染小児230万人のうち70万人は抗レトロウイルス薬(ARV)治療を必要とするが治療を受けているのは2.5万人にとどまる。 【方法】2004年7月から2006年6月までにコートジボワールの18の病院・診療所にアクセスした、HI陽性母から出生した、あるいは家族にHIV感染がある小児を対象とし、HIV感染の診断(抗体又はreal-time PCR)、臨床ステージ、CD4%、ARV治療レジメン、治療効果などを調査検討した。 【結果】0-13歳の対象児3365人中、HIV感染が2476人(73%)に確認された。うち32%は母子感染予防対策後フォローを受けていた子(median age:4ヶ月)で68%は家族のHIV感染診断後に判明した子(median age:6歳)である。WHOのガイドラインに従いARV治療が開始されたのは1042人(40%)、レジメンはAZT又はd4T+3TC+NFV又はEFV又はNVPで、1-4ヶ月後に10%に変更があった。12ヶ月生存率は68%(開始CD4<10%)から89%(10-15%)で、CD4%の上昇は+11(4.2-16)、BMIの上昇は+1.3(0.1-2.6)、ヘモグロビンの上昇は+1.4(1.0-2.4)見られた。 【考察】本結果はアフリカにおいても小児エイズのARV治療が実施可能であることと、その有効性(無治療は2年生存率50%)を示唆している。 コートジボワールにおける女性と子どものエイズに関する研究はこれまで上記のような子どものエイズ治療に関する調査成果が得られた。今後子どものHIVと結核の二重感染の実態とリスク要因、女性エイズ患者におけるB型C型肝炎の合併の実態などに関する結果の集積と解析を行なう予定である。
|
Research Products
(2 results)