2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17500124
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 栄治 Aichi Institute of Technology, 工学部・電気学科, 准教授 (50298460)
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Keywords | 動画像処理 / 動き認識 / 昆虫画像処理 / EMD / ERD |
Research Abstract |
Reichardtにより提案された昆虫における視覚情報処理の数理モデルであるEMD(Elementary Motion Detector)やSperlingらによりEMDのエイリアシング問題について改良されたERD(Elaborated Reichardt Detector)において,これら動き検出器での時間平均フィルタリング処理は,左右のリセプタと呼ばれる信号観察部(入力部)からの信号の自己相関を計算する上で必要不可欠な処理である.EMDおよびERDにおいての動き検出の理論は,時間平均フィルタリングが無限時間にわたり積分されることを前提として成り立っている.しかしながら,EMDまたはERDをコンピュータプログラムやハードウェアに実装する場合,このような無限時間にわたり積分することは不可能である.現実においては,有限時間の積分により入力信号の自己相関を求めることになる.この理論と現実の違いにより,実際の動き検出結果が理論的な動き検出結果からどの様に乖離するかを,EMDについて理論的に検証した. 理論的な検証の見通しを良くするため,EMDへの入力信号は一定速度で移動する正弦波であるとした.時間平均フィルタリングにおいて無限時間にわたる積分が実行される理論的な状況においては,EMDからの出力は時間によらない一定な値(DC成分のみからなる信号)になる.この性質によりEMDは出力信号の符号に基づき信号の移動方向を検出することができる.ところが無限積分区間を有限区間に改めると,上記DC成分以外に交流成分が出力されることが解析的にわかった.この交流成分はsinc関数と正弦波の積からなり,その振幅は入力信号の振幅の関数であり,sinc関数の周期は入力信号の移動速度と空間周波数および積分区間の関数であることが判明した,つまり,観察信号の移動方向を正しく検出するためには,観察信号の空間周波数と移動速度に応じて積分区間を適切に設定する必要があることが明らかになった.
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Research Products
(1 results)