2006 Fiscal Year Annual Research Report
量子力学的ゆらぎを伴うベイジアンネットシステムの設計理論の構築
Project/Area Number |
17500134
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 和之 東北大学, 大学院情報科学研究科, 助教授 (80217017)
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Keywords | アルゴリズム / 画像,文章,音声認識等 / 統計科学 / 確率的情報処理 / ソフトコンピューティング |
Research Abstract |
本研究計画は,量子力学的ゆらぎを確率推論に取り込んだ,いわゆる量子ベイジアンネットシステムの設計理論の基盤の整備を行い,実用化への可能性を探ることを目的とするものであり,近年,研究の活発化している量子情報処理を量子確率推論へと発展させる試みである.平成17年度の「確率推論を定式化する枠組みとしてのベイズ統計の量子力学的確率推論への拡張」についての研究成果を受けて平成18年度は具体的な確率推論システムに対する量子力学的確率伝搬法のアルゴリズムを構成し,収束性を確認し,同時に従来の確率伝搬法との数理構造の違いの明確化を行った.特に量子力学的に拡張された確率推論の一般的場合に適用可能な形での量子力学的確率伝搬法のアルゴルズムをクラスター変分法に基づいて導出する公式を密度行列の形に応じて具体的に与えた.更に線形応答理論を組み合わせることで任意のノード間の相関関数を計算するアルゴリズムの定式化も与え,いくつかの数値実験を通してアルゴリズムの妥当性を検討した.その成果の一部は科研費特定領域研究「情報統計力学の深化と展開」平成18年度研究成果発表会(2006年12月,大手町サンケイプラザ)および日本物理学会2007年春期大会領域11シンポジウム「量子系におけるコトの物理学」(2007年3月,鹿児島大学)において,それぞれ講演を依頼され,公開している.同誌に,量子ベイジアンネットワークの数理構造の基礎として,確率モデルにおけるプレフカ展開とクラスター変分法の関係についての一般的な解釈を与えた.更に平行して,情報処理におけるスケールフリー性を伴うネットワークの生成のメカニズムの数理的解析を行った.以上の研究成果をもとに量子ベイジアンネットワーク設計理論の基盤整備を進めた.
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Research Products
(7 results)