2005 Fiscal Year Annual Research Report
誰もが安心して暮らせる社会を実現するための、生活空間の条件の感性実験による導出
Project/Area Number |
17500150
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
大倉 典子 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (00317364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 洋子 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (40327755)
安納 住子 芝浦工業大学, 工学部, 講師 (10333527)
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Keywords | 安心 / 生活空間 / 感性実験 / 女性 / 幼児 / 高齢者 / 社会的弱者 |
Research Abstract |
総合科学技術会議により策定された第2期科学技術基本計画において、「安心・安全で質の高い生活のできる国」が、科学技術政策の基本的な方向として目指すべき国の姿のひとつに挙げられた。現在、都市環境や建築物に対して防災やバリアフリーの観点から、物理的な「安全」を規定する法律は整備されつつあるが、感性的な「安心」を実現するための法的な規制は未だない。そこで本研究では、女性、子供や幼児、高齢者等の社会的弱者が安心して生活できる生活空間の必要条件を、概念的でなく実験に基づいて明確化することにした。まず初年度は、対象を女性、その利用施設を研究施設に限定することで、調査データの解析結果の有為性を高め、今後の研究の遂行を容易にすることを計画した。しかし実際には、研究を担当することになったのが男子学生で、「女性にとっての安心」という概念を実感できなかったため、対象を高齢者、利用施設を公共施設に変更して、以下の順に研究を進めた。 1.「高齢者にとって安心」という観点から、現在の公共施設の問題点を調査 (公官庁の調査結果を参照し、また独自に高齢者を対象にアンケートやインタビュー調査を実施した。) 2.バーチャルリアリティを利用した没入型生活空間シミュレータの、研究施設評価実験用コンテンツを作成 (調査結果の分析から、解明すべき対象を「階段」、実験項目を傾斜(蹴上げと踏み面)・手すり・踊り場とし、実験計画をたて、コンテンツを設計し、開発した。) 3.生体信号を測定・収集するシステムを構成 (心理的負荷の客観的な指標として脳波・皮膚電位・脈拍・心電等の生体信号を測定する装置を導入し、パソコンで生体信号を収集するシステムを構築し、予備実験を実施した。) 4.高齢者を被験者として、階段を見下ろしたときの安心度(心理的負荷の少なさ)の評価実験を実施 (作成した実験用コンテンツを用いて実験を行い、アンケートとインタビューによりデータを収集した。また生体信号の測定は、それ自体が高齢者の心理的負荷になることがわかったので、測定の実施を見合わせた。) 5.実験結果を、統計解析手法を利用して解析 (20代の被験者の実験結果との比較から、高齢者は階段を下りることに不安を抱いており、傾斜の違いよりも手すりや踊り場の存在に安心感を持つことが明らかになった。) 平成18年度は、女性を対象とし、また生体信号の測定も行い、平成17年度の研究手法をさらに発展させた形で研究を遂行する予定である。
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Research Products
(4 results)