2006 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニケーションにおける「心の理論」と社会的認知の相互的発達の検証
Project/Area Number |
17500172
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
正高 信男 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (60192746)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 智子 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (20296792)
|
Keywords | 心の理論 / コミュニケーション能力 / 社会認知 / 語彙獲得 / 確信度 |
Research Abstract |
本研究は、2歳から4歳までに発達するとされる潜在的な信念の理解が、コミュニケーションによって促進されると仮定し、特に子供が信頼できる情報とそうでない情報を区別できるようになる時期を特定することを目的としている。言語的に示唆される話者の確信度の理解が可能になる時期と、非言語的な方法で示唆される確信度の理解ができる時期とを比較的に調査することが狙いである。これまでの実験的研究により、日本人幼児の場合、3歳の段階で、文末助詞によって示唆される話者の確信度を理解することができることが明らかになった。また、そのことを利用して、誤信念課題に発話を含めたものを新たに開発し、実験してみたところ、発話に「よ」が含まれている場合、3歳児の誤信念課題の成績が上がることがわかった。比較の対象として、終助詞を持たないドイツ語を母国語とした3歳児で実験をしてみたところ、誤信念課題の成績は上がらなかった。このことから、終助詞が母国語にあるかないかによって、確信度の理解に差が出ることが示唆された。この結果は論文にまとめられ、現在投稿中である。他者の確信度を言語的もしくは非言語的に理解する能力の発達に関しては、日本語の終助詞に加え、「思う」「知っている」などの動詞を言語的手がかりとして含め、非言語的手がかりと対象させ、何歳で理解が可能になるか実験的に検証した。その結果、もっとも早い時期に理解されるのが非言語的手がかりであり、それに終助詞、動詞の順で言語的手がかりが理解されるようになるということが明らかになった。この結果はCognitive Science SocietyおよびSociety for Research on Child Developmentの学会で発表された。実験結果は来年度の出版をめざし、現在論文として執筆されつつある。
|
Research Products
(2 results)