2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17500174
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
田崎 美弥子 東京理科大学, 理学部, 助教授 (50256658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 幹男 東邦大学, 理学部, 訪問教授 (80166826)
小久保 秀之 東邦大学, 理学部, 訪問研究員 (90408948)
小林 宏 東京理科大学, 工学部, 助教授 (20281412)
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Keywords | 顔表情認知 / 異文化差異 / 情動認知 / 脳血流変化 / 情動表出 / 近赤外分光血流計 |
Research Abstract |
顔表情認知研究では、欧米は喜怒といった対立する顔表情が混在しないDialecticな文化圏であるが、東洋は、対立する顔表情が混在するNon-Dialecticな文化圏であることが示されてきた。 本研究は、異文化における顔表情認知過程の差異を検証することを目的に、3つの研究を実施した。最初に、日本人男性の平均顔を使ってその情動変化による異なる顔表情を刺激材料とし、日本人5名、中国人留学生3名に刺激材料のソーティングを実施した。その結果、中国人学生は、曖昧な画像については、全く異なる山を作り、喜びと怒り以外は殆ど正答できなかった。 次に心理学を履修している学生139名を対象に、講義室でスクリーンに26の顔画像を5秒間提示し、7つの選択肢から顔表情の正答を選び、調査用紙に記載してもらった。その結果、刺激材料に対する全体の平均正答率は16%と極めて低いものの、笑い顔の正答率は98%(137名/139名)と極めて高く、他の基本的な情動とは統計的に有意差(1%水準)が見られた。さらに、データをクラスター分析したところ、喜びと悲しみ、怒りと不安・嫌悪の3群になることがしめされた。 次に、脳の血流変化で顔表情認知過程を検討した。日本人学生3名、中国人学生3名を対象とし、近赤外分光血流計を装着した状態で、上記実験と同じ顔表情刺激材料の判別実験を行ったところ、中国人対象者は右側頭葉顔貌の識別に関与する領域が賦活し、課題の理解・実行に関与する活動が行われていることが示されたが、日本人の脳には大きな変化がみられなかった。さらにその日本人の正答率は平均して22%、中国人は8%であった。日本人の曖昧な顔表情は同じオリエンタルであっても中国人にとっては判別しづらいことから、中国人と接するときには明確な顔表情を作らないとミスコミュニケーションが起きる可能性があると示唆された。
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Research Products
(3 results)