2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17500174
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
田崎 美弥子 東京理科大学, 理学部・教養, 助教授 (50256658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 幹男 東邦大学, 理学部・心と生命の環境学研究センター, 訪問教授 (80166826)
小久保 秀之 東邦大学, 理学部・心と生命の環境学研究センター, 非常勤講師 (90408948)
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Keywords | 情動表出 / dialectical / non-dialectical / 日本:中国:ブラジル / アジア圏 / 近赤外分光血流計 / 脳血流 / 異文化理解 |
Research Abstract |
[目的]Dienerら(2006)は、欧米とは異なり、アジア圏では不快情動と快情動という対立する情動が混在する顔表情が受容されやすいという。本研究は、6つの情動を示す顔表情と、対立する情動が混在する顔表情とを刺激材料として、同じアジア圏である中国人と日本人との差異を脳血流測定によって検証した。 [予備実験1]日本人男性の喜び、不安、怒り、驚き、軽蔑、悲しみの表情各2枚と、喜びと他の表情との混在する表情各2枚、計24枚を用意し、日本人学生5名、中国人留学生3名を対象に、刺激材料の適切さを調べた。結果、喜びの正答率は全員100%だった。日本人はどの顔表情でも誤答がなく、中国人は喜びと怒り以外はほとんど正答できなかった。 [予備実験2]実験1を基に、新たに喜び、驚き、恐れ、怒り、嫌悪、軽蔑の顔表情刺激計26枚を用意した。日本人学生139名の回答は、喜びを示す笑顔の正答率が98%と極めて高く、他の顔表情の正答率も平均6割を超えた。 [予備実験3]実験2の刺激材料をブラジル人学生35名で調べた結果、基本表情では、笑いと驚きの正答率が各66%だったが、他の表情は平均15%だった。 [脳活動]実験2の刺激材料を使い、日本人学生3名、中国人学生3名の脳血流を近赤外線分光血流計OMN-3000で測定した。中国人女性2名は右前頭前野腹外側部の血流増加が顕著だったが、男性は前頭前野背外側部で顕著に増加した。日本人被験者は3名とも右前頭前野腹外側部で血流増加したが、相対的には目立たず、これは課題負荷が少なかったためと推測された。 [結論]同じアジア圏であっても中国人にとって日本人の曖昧な顔表情は正確な認知が困難であり、その顔表情を推測するのに脳血流が顕著に増大することがわかった。つまり、日本人と中国人の顔表情認知には差異があり、アジア圏として一括りにできないことが示唆された。
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Research Products
(1 results)