2006 Fiscal Year Annual Research Report
ボロノイ・デローネイ空間分割と空間統計学との融合的研究
Project/Area Number |
17500188
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
種村 正美 統計数理研究所, モデリング研究系, 教授 (80000214)
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Keywords | ボロノイ・デローネイ解析 / 余震活動 / 時空間データ / 形状解析 / ランゲルハンス細胞 / 第k近接距離 / 樹木配置データ / スーパーコンピュータ・システム |
Research Abstract |
空間のある領域の中に多数の点(粒子と呼ぶ)が配置されているとき、粒子配置の統計的性質を特徴付けて配置データがもつ情報を適切に引き出し、当該分野で有用となる結論を導く手段を提供するのが「空間統計学」の重要な役割である。一方、与えられた配置図データ(粒子座標データ)にもとづいて観測領域を分割して得られるボロノイ・セルやデローネイ・セルの形状の統計分布から、空間データの性質を導き出す手法が「ボロノイ・デローネイ解析」である。しかし、従来は「ボロノイ・デローネイ解析」は「空間統計学」のいわば補助的手段にとどまっていた感がある。本研究計画はボロノイ・デローネイ解析を空間データに関する詳細な情報抽出の手段として、また多様な統計モデルの構築手段として利用することによって、空間統計学との融合を積極的に図ることを目標としている。 本年度は三ヶ年計画の2年目として研究活動を行った。多くの研究時間を費やしたのは大規模な時空間データのボロノイ・デローネイ分割の計算である。このデータは国内のある地域における地震の余震活動記録であって、緯度・経度・発生時刻の3次元データとなっている。データ数(粒子数)は560,000程度であり、これだけの規模のデータの3次元ボロノイ・デローネイ分割を行うには計算プログラムの新規作成・改良とスーパーコンピュータの利用が不可欠である。そのため、統計数理研究所のスーパーコンピュータ・システムAltixと本研究計画で昨年度に導入したUNIXワークステーションを併用した。地震活動のボロノイ・デローネイ解析は以前、2次元空間でデータ数4,600程度で行った経験がある(Appl.Statist. Vol.52, pp.499-509, (2003))が、今回の大規模計算のためにはデローネイ・セル(デローネイ四面体)のリスト作成のために効率の良い計算プログラムを開発した。 本年度は上記以外に第k近接距離分布による粒子配置の統計的診断法の開発研究として、第k近接ボロノイ・デローネイ・セル分割を森林における樹木配置データ、生物組織におけるランゲルハンス細胞の配置データなどに対して適用して、興味深い新しい知見を得た。この成果については、論文の作成準備に取りかかった。また、ヒトの顔に現れるシミなどのデータを収集して、点配置の形状解析による統計的手法開発を進めた。
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Research Products
(5 results)