2006 Fiscal Year Annual Research Report
正則化統計モデリングに対する計算集約型モデル選択法の実用化に関する研究
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17500189
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
川崎 能典 統計数理研究所, モデリング研究系, 助教授 (70249910)
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Keywords | 情報量規準 / 正則化法 / 多変量GARCHモデル / リスク管理 / 周辺化尤度 / 一般化動的線型モデル / モデル選択 |
Research Abstract |
今年度は時系列モデルの選択問題として、一変量および多変量GARCHのモデル比較を、所与のダウンサイドリスク(具体的にはValue at Risk)とのコヒーレンシーの観点から行った。各種モデルの推定結果を所与として予測シミュレーションを行い、VaRの下側1%点を超える経験的頻度を二項検定で比較した。多変量GARCHモデルに対しては、パラメータ数を勘案すると、Dynamic Conditional Correlationモデルが最もパフォーマンスが良く実用的であることが明らかになった。この結果は、論文査読を経て、雑誌「統計数理」に掲載された。一方、成果物出版には至っていないが、一般化動的線形モデルの具体例として、多変量の計数時系列に対するモデリングと、その評価方法に関する研究を行った。整数値を取る多変量時系列データが与えられているとき、それらの背後に共通する事象生起強度を仮定するモデルを研究した。特に強度関数に強い周期性が見られるデータを取り扱った。ポアソン回帰モデルで周期性をモデリングすると、個体間のバラツキとともに各観測時点における分散不均一が大きいことが判明したため、結果的にモデル選択にあたっては、Huber-White型の誤差分散推定を行って、逐次的に変数選択を行うことでモデル選択を行った。このような分散不均一性を各周期成分の未知母数に対するランダム効果としてモデリングし、モデル選択を情報量規準の枠組みでどう捉えればよいかは今後の課題である。一方、ポアソン強度に加法分解型のモデルをあてはめると、周期成分まわりの定常AR成分を想定して得られた分解の結果が、著しく分散不均一性を示すこともわかった。これにより、階層構造をもう一段深めて、時変分散を持つ観測不能時系列を追加的に考慮する必要があることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)