2007 Fiscal Year Annual Research Report
高精度タンパク質構造モデリングおよび構造評価手法の開発
Project/Area Number |
17500191
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 謙多郎 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80178970)
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Keywords | 生体生命情報学 / 蛋白質 / プロテオーム / 構造予測 / 構造評価 / 構造精密化 |
Research Abstract |
タンパク質の詳細な機能の解析、酵素、薬剤設計などの応用には、全原子レベルの精度の高い構造予測(モデリング)が重要である。本研究では、昨年度に引き続き、ホモロジーモデリングなど、既存の構造予測手法で得られた構造に対して、重要な部位について重点的に予測精度を向上させることが目的とする高精度タンパク質構造モデリングシステムを開発した。本研究で開発した構造モデリング手法は、(1)局所構造情報を利用した側鎖モデリング、(2)溶媒効果を取り入れたマルチカノニカル分子動力学計算による効率的かつ高精度なモデル構造の生成、(3)生成した多数の候補構造から予測構造を絞り込むための構造クラスタリング、(4)予測構造の妥当性の詳細な評価の4段階から構成される。ループ部の構造や側鎖の構造を精確に予測することができるようにするとともに、構造評価プログラムの結果をもとに、繰り返し構造の精密化を試みることを可能にした。本年度はまた、(2)の手法について、とくに以下のような結果を得た。立体構造が多く決定されているSH2ドメインの-つであるhuman p56 lck(PDB ID:1LKK)の構造をもとに、同じくSH2ドメインの、 Xlp SAPの構造の予測を行った。SH2ドメインは100アミノ酸残基程度からなり燐酸化チロシンを含んだペプチドを認識する機能を持つが、ペプチドを認識するループ部分がホモログ間で大きく変化している。とくにXlp SAPは、 human p56lckと比較して、ペプチド認識ループに10残基もの挿入配列があるため、既存の比較モデリングのみでは構造予測は困難である。我々は、マルチカノニカル分子動力学計算を用いて、高精度モデリングを試み、結晶構造(PDB ID:1D4W)に非常に近い構造群を得ることができた。
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Research Products
(4 results)