2005 Fiscal Year Annual Research Report
DNA分子複合体を形成するためのハイブリッド型高速配列設計システムの開発
Project/Area Number |
17500192
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
小林 聡 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (50251707)
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Keywords | DNA計算 / 配列設計 / 二次構造予測 |
Research Abstract |
DNA配列がワトソン・クリックの相補性に基づいて特異的に会合する性質を利用して、DNA分子の複合体を意図的に形成することができる。DNA計算は、このようなDNA配列複合体の意図的な形成を通して情報処理を行わせようとする研究分野であり、近年はバイオテクノロジーやDNAナノテクノロジーの分野と関係を深めながら研究が進展している。しかしながら、DNA配列は試験管内で様々な組み合わせで会合する可能性があるので、目的の複合体を形成するDNA配列の集合を設計することには組み合わせ論的な困難がつきまとう。本研究では、この組み合わせ論的な困難をアルゴリズム論的立場から打破して、目的のDNA配列複合体を形成させるための効率の良い配列設計システムを構築することを目標とする。 与えられた基本配列集合が組み合わさってできる膨大な数の配列の集合はグラフを用いてコンパクトに表現することができる。従来の研究では、一般の有限グラフ表現の場合にO(n^8)の二次構造評価アルゴリズムがあることが知られていたが、本年度の研究では、グラフがacyclicである場合には、O(n^5)の二次構造評価アルゴリズムが存在することが示せた。グラフがacyclicであってもDNA計算の配列設計においては有用であり、配列設計に応用する場合には、O(n^5)の事前計算を一度実行すれば、後の時間計算量はO(n^4)に抑えられることが示された。また、提案したアルゴリズムを実装することにより、グラフの頂点数が1000程度の実用的な問題規模では、従来設計で用いられている「しらみつぶし評価」を用いた場合に対して、当初目標である10倍以上の評価時間の短縮を実現することができた。
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