2006 Fiscal Year Annual Research Report
網膜神経組織再生における分化転換の細胞・分子メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
17500199
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
千葉 親文 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 助教授 (80272152)
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Keywords | イモリ / 網膜 / 再生 / 分化転換 / RPE / Pax6 / Musashi1 / Notch-1 |
Research Abstract |
成体イモリの網膜再生機構を明らかにするために(1)〜(3)の実験を行った。 (1)細胞・分子マーカーをもちいたRPE細胞の分化転換過程の解析 Pax6遺伝子は網膜除去後10日までに発現する。今回、免疫組織化学解析を行った結果、Pax6陽性反応は術後14日の網膜原基と再建中の網膜色素上皮(RPE)の両方に検出された。19日には、網膜原基の陽性反応は維持されたが、RPEでは検出されなくなった。これらの結果は、Pax6が術後すぐのRPE/Stem-like細胞に発現し、脱分化と増殖、および網膜とRPEの分化に関わる可能性を示唆する。Musashi1の発現様式を解析した結果、網膜辺縁部の網膜幹細胞/網膜前駆細胞だけでなく分化した視細胞にも発現することが分かった。現在、網膜再生および視細胞における役割について解析している。正常な網膜再生にNotchシグナルが必須であることを示した。 (2)遺伝子強制発現・ノックダウンの条件決定 眼球内注入法ではモルフォリノアンチセンスオリゴ鎖をRPE細胞に導入することは困難であった。現在、培養下での導入条件と眼球内移植による評価条件を探索中である。 (3)RPE細胞の無血清単離培養法によるFGF2の分化転換に対する機能解析 成体イモリのRPE細胞にはPax6やFGFR-2は発現しておらず、網膜除去後に誘導されて発現してくる。しかし、細胞培養により、RPE細胞がもともとFGF2に対して感受性をもち、Pax6や(Pan-Retinal-Neuron)PRNマーカーを発現することが分かった。すなわち、FGF2はRPE細胞の脱分化、増殖、PRNマーカー発現を誘導・促進しうる。しかし、PRNマーカーの発現はin vivoでの分化転換の初期過程では抑制される。現在、培養系を用いてPax6の機能とFGF2による発現誘導経路の解析を中心に進めている。
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Research Products
(1 results)