2007 Fiscal Year Annual Research Report
網膜神経組織再生における分化転換の細胞・分子メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
17500199
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
千葉 親文 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (80272152)
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Keywords | 網膜 / 再生 / 色素上皮細胞 / イモリ / FGF2 / MEK / Musashi / 分化転換 |
Research Abstract |
研究の目的:成体イモリの網膜再生戦略を細胞・分子レベルで明らかにするために、期間内に以下の目的を達成する。(1)細胞・分子マーカーをもちいて網膜色素上皮(RPE)細胞の分化転換過程を詳細に記載する。(2)分子機能操作により分化転換の主要分子経路を明らかにする。 研究実施計画ごとの成果: 1、分化転換の主要分子経路のin vivo解析 (1)FGFR-2/MEK/Pax-6経路の解析は進行中である。 (2)Musashi-1が正常眼球の分化した視細胞とCMZ領域の網膜幹細胞・前駆細胞に発現することが分かった。正常網膜および再生網膜の解析からMusashi-1 mRNAのスプライスバリアントの発現比が分化した視細胞と網膜幹細胞/前駆細胞とで異なることが分かった。視細胞への発現は成体マウスでも観察された。岡野栄之(慶応大・医)の協力を得てMusashi-1ノックアウトマウスを解析した結果、視細胞に変性が起こることがわかった。これらの結果は脊椎動物においてMusashi-1遺伝子が神経幹細胞だけでなく視細胞にとっても重要な機能を担っていることを示唆している。 2、脱分化(初期化/再プログラム化)シグナルのin vitro解析 (1)網膜色素上皮(RPE)細胞の単離培養に加えEye-cup組織培養系により分化転換の誘導経路の解析を行った結果、FGF2に対する応答性が培養5日以降に現れること、組織培養でもPan-retinal-neuron(PRN)マーカー分子が発現すること、PRNマーカーの発現がMEK/ERK阻害剤で抑制されることが明らかとなった。これらの結果から、分化転換/網膜再生の誘導にはFGF2以外の因子が関わる可能性が高いが、一方でMEK経路も重要な要素であることが分かった。 (2)Pax-6の役割についてEye-cup組織培養系により解析中である。
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Research Products
(8 results)