2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞移動基質としての大脳皮質ラジアルグリアの動態解析
Project/Area Number |
17500200
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
畠中 由美子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (40271548)
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Keywords | 神経発生 / ラジアルグリア / 大脳皮質 / 神経細胞移動 / 可視化 / 細胞形態 / タイムラプス / 細胞間相互作用 |
Research Abstract |
ラジアルグリアは神経上皮を構成する細胞であり、大脳皮質の神経細胞はこの細胞が皮質表層に向かって伸ばすファイバー上を移動することが知られている。本研究では、ラジアルグリアの動態に着目し、1 発生過程におけるラジアルグリアの構造をその微細構造を含め、生きた状態で観察する技術を開発し、2 ラジアルグリアを基質として移動する神経細胞との動的細胞間相互作用に焦点あて、解析することを目的としている。本年度はラジアルグリアの動態観察のための準備を行った。まず、微細構造可視化のため、種々の膜結合型YFP (YFP-mem,パルミトイル化;YFP-F,ファルネシル化;YFP-CAAX,ファルネシル化;Lyn-YFP,Lyn膜結合シグナル)コンストラクトを作成し、子宮内電気穿孔法でマウス胎生15日の脳に導入した。導入後1日めの観察で、YFPの蛍光はいずれの場合も細胞膜に観察され、微細構造可視化に適すると考えられたが、YFP-CAAXの蛍光が細胞膜に一様に分布するのに対し、mem/F/Lynでは、局所的に不均一な分布を示した。更に、細胞膜プローブの使用による細胞動態阻害の可能性を検討するため、YFPも同時に導入し、3日後に移動細胞の分布を観察した。いずれの場合も細胞移動は観察され、これらのプローブの使用による動態への影響は少ないと考えられた。そこで均一性を示すYFP-CAAXを可視化のプローブとして選択した。次にこのプローブを導入した脳からスライスを作製し、これを培養しながらタイムラプス観察を試みた。倒立型蛍光顕微鏡システムに、微細構造を観察するため倍率の高いレンズを用いたが、観察がスライス標本の表面に限られたためか、細胞の動きをとらえることは出来なかった。今後はスライス内部を観察するためにレーザー顕微鏡などの使用を検討する予定である。
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