2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞移動基質としての大脳皮質ラジアルグリアの動態解析
Project/Area Number |
17500200
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
畠中 由美子 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (40271548)
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Keywords | 神経科学 / 細胞・組織 / 解剖学 / 発生・分化 / 細胞間相互作用 |
Research Abstract |
ラジアルグリアは神経上皮を構成する細胞で、細胞体は神経上皮に存在するが、その突起(ラジアルファイバー)を脳表層に向かって長く伸ばすという特徴的な構造を持つ。大脳皮質では、ラジアルファイバーは神経細胞が移動するための基質であり、脳室帯で生まれた神経細胞を表層までガイドし、層構造を形成するための重要な役割を担うと考えられている(Rakic,1972)。最近では、大脳皮質のラジアルグリアは、神経細胞を生み出す幹細胞であることが示され(Malatesta et al.,2000;Tamamaki et al.,2001)、その点においても注目されている。昨年度はこのラジアルグリアの形態を詳細に観察するために細胞膜の細部まで標識できる様、種々の膜結合型YFPを用意し、このうち、細胞体を均一に標識することが可能であったYFP-CAAXのコンストラクトを選択し、子宮内電気穿孔法によってラジアルファイバーを可視化することに成功した。しかし、このプローブを導入した脳よりスライスを作製し、倒立型の顕微鏡で底面よりスライスを観察したところ、ガラス接着面と近いスライス組織では細胞移動が観察されず、さらに途中で蛍光細胞が消失するなど、ガス交換ができないために細胞が死んでいるなど培養の状態が悪いことが予想された。そこで正立型の顕微鏡を使い、ガス交換が行われているスライス表面側からタイムラプス観察を行ったところ細胞移動を観察することができた。今後は正立型顕微鏡の系を用いて、ラジアルファイバーの形態が時間とともにどのように変化するのかを観察する予定である。
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