2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経可塑性調節におけるNMDA型と代謝型グルタミン酸受容体の相互作用とその役割
Project/Area Number |
17500204
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡部 文子 The University of Tokyo, 医科学研究所, 助教 (00334277)
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Keywords | 神経可塑性 / LTP / NMDA型受容体 |
Research Abstract |
記憶・学習に深く関与する海馬や扁桃体では、イオン透過型と代謝型という複数種のグルタミン酸受容体を介してシナプス伝達が行われる。シナプス伝達効率の長期増強(LTP)ではイオン透過型であるNMDARが重要な役割を果たすことが知られているが、これまでのLTP研究分野では誘導に関わる主要な情報伝達系の解析が中心であり、生理的状態ではどのように可塑性誘導閾値が調節されるのかについては、ほとんど分かっていない。そこで我々は可塑性誘導閾値調節における代謝型(mGluR)およびNMDA型グルタミン酸受容体(NMDAR)の役害およびその相互作用を、特にNMDARのリン酸化とサブユニット構成制御という観点から明らかにすることを目指した。本年度は扁桃体におけるシナプス応答のおよび可塑性の詳細な解析を行った。LAではCA1領域に比べてシナプス応答におけるNMDA/AMPA電流比が有意に高く、さらに、NMDA受容体シナプス応答のifenprodil感受性も有意に高いことが示された。また、NMDA受容体応答の電流-電圧曲線特性にも両領域間に有意な差が認められた。 これらの結果からLAでは基礎的シナプス応答におけるNMDA受容体応答の貢献が大きいこと、特にNR2Bサブユニットの貢献が大きいことが示唆された。NR2AとNR2Bはその構築するチャネルの減衰時定数が異なり、また細胞内側で結合する分子群も異なることから、このようなサブユニット構成の違いは、NMDA受容体下流シグナルや可塑性誘導閾値に大きく影響すると考えられる。
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Research Products
(2 results)