2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17500209
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
内藤 栄一 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報研究所, 主任研究員 (10283293)
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Keywords | 頭頂葉 / 空間認識 / 身体像 / 外部道具使用 / 運動錯覚 / 核磁気共鳴装置 |
Research Abstract |
人間は道具をあたかも自分の身体の一部であるかのように操作することができる。我々が道具を手にすると、その位置や動きは手の位置や動きと一致する。つまり、脳は(視覚に頼らずに)手の位置や動き(体性感覚)を通して道具の位置や動きを知ることができ、これにより外界物体が手と一体化するかのような制御が可能になる。閉眼被験者が手を受動的にボールの側面に置いて、手首伸展筋の腱を振動刺激する。すると、手首が屈曲する運動錯覚にあわせて、ボールが手と一緒に動いている錯覚を明瞭に経験できる。12名の閉眼右利き被験者がこの錯覚を経験している最中に機能的核磁気共鳴装置で脳活動を測定した。すると、左半球の44野と下頭頂葉が特有に賦活し、特に左下頭頂葉は手の左右に関わらず共通に賦活した(Naito&Ehrsson2006)。これらの活動は、手の運動感覚情報と手がボールに接触しているという情報を脳が統合する過程に関係したものであるから、手の内的運動表象とボールの外部表象が一体化する過程を反映していると考えられる。同様に、7名の閉眼右利き被験者が両手で長い物体の端を軽く持っている最中に、右手首の伸展筋の腱を振動刺激すると、被験者は手首の屈曲運動錯覚に伴って、外部物体が縮むような錯覚を経験する。このとき、両側の上頭頂葉(5野)が特有に賦活する。この活動は手の動的な運動感覚情報と両手で物体を持っているという情報とを統合して両手-物体運動知覚を生起するのに関与することを示している(submitted data)。以上のように、外界物体を自己の身体像に関連させ、自己の身体座標と統合する過程においては、頭頂葉の異なる領域が合目的に関与する。これにより、人間は道具をあたかも自分の身体の一部であるかのように操作することを実現している。
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Research Products
(6 results)