2006 Fiscal Year Annual Research Report
カルモデュリンキナーゼの細胞内局在の分子機構と神経機能の解析
Project/Area Number |
17500219
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阪上 洋行 東北大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (90261528)
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Keywords | カルシウム / キナーゼ / 遺伝子発現 / 樹状突起 / 海馬 / 神経可塑性 |
Research Abstract |
カルシウムシグナル機能の下流の中心的な機能分子である多機能型カルモデュリンキナーゼ(CaMK)のうち、CaMKIとCaMKIVは、上流の活性化酵素であるCaMKキナーゼ(CaMKK)とともにCaMKカスケードを形成し、CaMKKによるリン酸化により活性調節を制御される点で、自己リン酸化により活性調節をするCaMKIIとは異なる。本研究では、CaMKカスケードを構成するCaMKIの4つの分子種(α、β、γ、δ)、CaMKIV及びCaMKKの2つの分子種(α、β)の神経分化における機能を明らかにするために、海馬発達過程における遺伝子発現局在をin situハイブリダイゼーション法により検討した。その結果、CaMKIのうちβ2及びδ分子、CaMKIV,CaMKKαとβ分子の遺伝子発現は、特に海馬神経細胞に豊富に認められ、生後発達に伴って増加し、生後2から3週齢にピークを示した。この発現のピークを示す時期が樹状突起が最も盛んに形成される時期に一致することより、恒常的不活性型変異遺伝子(dn)を初代海馬神経細胞に導入し、樹状突起の形成への影響を検討した結果、dn-CaMKIは樹状突起の伸長を有意に抑制し、一方dn-CaMKIVとdn-CaMKKは樹状突起の本数を有意に減少させた。これらの所見より、CaMKIとCaMKIVは、海馬神経細胞の樹状突起の形成の異なるステップに関与すること、さらに、CaMKIVの樹状突起への機能関与には、CaMKKによる活性化が必要であるが示唆された。これらの研究成果は、Neuroscience Res. 57:86-97(2007)に発表した。
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Research Products
(13 results)