2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17500229
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
加藤 信介 鳥取大学, 医学部, 助教授 (60194817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 雅子 鳥取大学, 医学部附属病院, 医員 (80221183)
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Keywords | 脳・神経 / 病理学 / 変性疾患 / 筋萎縮性側索硬化症 / 神経成長因子 / 治療 / トランスジェニックマウス / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
孤発性筋萎縮性側索硬化症(ALS)では原因不明の脊髄前角細胞死が生ずるが,残存前角細胞も存在しているのも事実である。我々はこれらALSにおける残存脊髄前角神経細胞の内因性生存メカニズムについて解析した。この解明に際しては,神経成長因子であるミッドカイン(MK)に着目し、第一にヒトMK特異的モノクロール抗体を作製し、第二にALSにおけるMKシステムの解析を行った。ヒトMK特異的モノクロール抗体の作製に関しては、ヒトMKのC末端(104-121)をペプチド合成装置にて合成し、ハイブリドーマの手法にてラット脾細胞とミエローマ細胞とよりヒトMKモノクロール抗体を作製した。検索症例は弧発性ALS40例の脊髄を用いた。正常対照は脊髄に異常を認めない20例を用いた。免疫組織化学的解析はホルマリン固定,パラフィン包埋切片を用い,一次抗体には今回作製した抗体を用い、免疫反応産物はABC法を用いて可視化した。今回新たに作製した抗ヒトMKモノクロール抗体のsubtypeはIgG_<2a>で、ヒトMKに特異的に反応し、パラフィン切片に応用可能であった。この抗体を用いた解析では、正常対照の脊髄前角細胞はMKを全く発現していなかった。ALS40症例を経時的に組織学的解析したところ、ALSの経過に従い、脊髄前角細胞は減少していた。ALS40症例のMK発現を解析したところ、大部分の残存神経細胞は正常脊髄前角細胞と同様にMKを発現していなかった。しかしながら、特筆すべき所見として、正常では胎生中期にのみしか発現しないMKが、ALSストレス下の残存脊髄前角細胞の一部に強発現していた。この事実は、細胞死に至らしめる原因不明のALSストレスに対して、ALS残存前角細胞の一部は神経成長因子であるMKを再発現することで、自らを守って生存している像ととらえることができる。
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Research Products
(4 results)