2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17500229
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
加藤 信介 鳥取大学, 医学部, 助教授 (60194817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 雅子 鳥取大学, 医学部附属病院, 医員 (80221183)
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Keywords | 脳・神経 / 病理学 / 変性疾患 / 筋萎縮性側索硬化症 / 神経成長因子 / 治療 / トランスジェニックマウス / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)における残存脊髄前角神経細胞の内因性生存機構としての神経成長因子であるミッドカイン(MK)再発現機構について解明した。昨年度のヒトMK特異的モノクロール抗体作製に続き、本年度はヒト、マウス、ラットのMKを認識するポリクローナル作製に成功し、両抗体をMK再発現機構の解析に用いた。検索症例はヒト剖検例として弧発性ALS40症例と家族性ALS(FALS)2家系5症例の脊髄を用い、正常対照は脊髄に異常を認めない20症例を用いた。ALSモデル動物として、G1H-G93Aトランスジェニック(Tg)マウス、H46R-Tgラット、G93A-Tgラットの3系統のモデル動物を使用し、正常対照はそれぞれの同胞例を用いた。免疫組織化学的解析はホルマリン固定,パラフィン包埋切片を用い,一次抗体には作製に成功した2種類の抗体を使用し、免疫反応産物はABC法を用い可視化した。経時的な病理組織学的解析したところ、ヒトALS症例及びALSモデル動物ともALSの経時的経過に従い、脊髄前角細胞は減少していた。MKの再発現を解析したところ、ヒト正常脊髄及びALSモデル動物の同胞脊髄においては、MKを発現している脊髄神経細胞は存在していなかった。ヒトALS・FALS及び3系統のALSモデル動物の脊髄においては、大部分の残存脊髄前角細胞は正常脊髄前角細胞と同様にMKを発現していなかった。しかしながら、特筆すべき所見として、正常では胎生中期にのみしか発現しないMKが、ヒトALS・FALS及びALSモデル動物の3系統すべてにおいて、ALSストレス下の残存脊髄前角細胞の一部に強発現していた。即ち、細胞死を惹起するALSストレスに対して、脊髄前角細胞の一部はMKを再発現し、自らを守って生存する内因性生存機構の存在を本研究において明らかにした。
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Research Products
(4 results)