2005 Fiscal Year Annual Research Report
小脳プルキンエ細胞上でみられるシナプス競合の作用機序の解明
Project/Area Number |
17500233
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
市川 量一 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10223091)
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Keywords | プルキンエ細胞 / 登上線維 / 平行線維 / 抑制性線維 / シナプス / スパイン / 樹状突起 / 小脳 |
Research Abstract |
小脳プルキンエ細胞には登上線維と平行線維の2種類の興奮性シナプスが形成される。前者は樹状突起の基部に後者が樹状突起の遠位部にと分布し、加えて、抑制性のGABA性シナプスはほぼ細胞全体にわたって分布している。プルキンエ細胞はこのような入力種によって相互に分節化したシナプス分布をなすことが特徴的である。 本研究では、このようなシナプス分布を形成する要因を探索する目的として、平行線維に障害を加えた際の、あるいは登上線維に障害を加えた際のプルキンエ細胞上におけるシナプスおよびスパインの分布変化を調べてみた。実験対象としてマウスを選び、平行線維に対する障害は、切開を加え、登上線維に対する障害は下オリーブ核を電気焼却した。それぞれ障害を加えてから、24時間後(平行線維)、36時間後(登上線維)、7日後、30日後のプルキンエ細胞上のシナプス構築をしらべてみた。 その結果、平行線維に障害を加えて24時間後では、平行線維シナプス数は減少Free Spineが多数観察された。それらは登上線維の支配領域である近位部にも出現していた。また、遠位部ではスパインの中にGABA線維とシナプスを形成するものも観察された。しかし、それらのFree SpineとGABA線維-Spineシナプスの大多数は7日後には消失しており、平行線維シナプスの密度(樹状突起の長さあたりの数)は正常とほぼ一致した。そのことは、平行線維が消失すると樹状突起遠位部のスパインは異種のシナプスを一過性に形成することもあるが、大多数は、平行線維との間に特異的にシナプスを形成する強い性質(グルタミン酸受容体δ2分子を含む分子メカニズムが関与していると考えられる)によって、残存した平行線維とシナプスを形成する、と考えらる。また、登上線維に障害を加えた際のシナプス構築の変化については、解析中であり、今後これを進めていきたい。
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Research Products
(1 results)