2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経系における低周波交流磁界刺激感受メカニズムの解明
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17500250
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
原田 真市 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (90272955)
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Keywords | C.elegans / 低周波交流磁界 / RT-PCR / マイクロアレイ |
Research Abstract |
低周波交流磁界が生体にどのような影響を与えるかを調べるためモデル動物である線虫C.elegansを用いて行った。C.elegansに対して0.5Tの磁界を2時間暴露後、RNAを抽出し遺伝子プロファイリングから発現レベルに差のある遺伝子、すなわち磁界応答遺伝子の同定を試みた。先に行ったDifferential Display法では約55個の遺伝子を同定できたが、本方法では包括的なスクリーニングには限界があることから、マイクロアレイ法を用いて25,453遺伝子をスクリーニングした。その結果、発現に差があると見られる遺伝子は3,437遺伝子となった。内訳は、発現レベルが1.5倍未満の遺伝子が2,002遺伝子と大部分を占めていた。2倍以上4倍未満は309遺伝子(control増:192、expose増:117)、4倍以上8倍未満が4遺伝子(control増:1、expose増:3)となった。しかしながら、我々が先に注目したncs遺伝子に関しては今回のマイクロアレイでは発現に差のある遺伝子としては同定されなかったが、再度RT-PCRによる定量では磁界暴露により2倍の減少が認められた。また同様にncs-1関連遺伝子であるtax遺伝子もやはり定量的RT-PCRにおいては磁界暴露による発現低下が認められた。さらにはシナプス伝達関連遺伝子unc-18,unc-64も減少していた。 今回のマイクロアレイによるスクリーニングにおいて特徴的なのは発現差の高いものに脂質代謝系関連遺伝子や線虫C.elegansの表皮関連遺伝子、col遺伝子が多く含まれていたことである。特に6つあるVitellogenin遺伝子は全て磁界暴露により発現が上昇していた。 またsip-1やcey-2,3などのストレス応答に関与する遺伝子も同定されたことは磁界がストレスになり、その結果遺伝子発現に影響を及ぼしていると考えられる。
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