2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17500253
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 秀和 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70273638)
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Keywords | シナプス / 可塑性 / 細胞接着分子 |
Research Abstract |
ほ乳動物の中枢神経系は、神経細胞(ニューロン)が伸ばした神経突起同士の接着によるネットワークを形成する。神経突起同士が接着し、情報伝達をおこなう「点」がシナプスであり、これにより情報の流れるルートと向きが決定されるだけでなく、情報の選別・積算・増幅などが行われ、また入力の仕方に応じて伝達効率を変化(可塑性)させ、ある種のメモリーを保持する。本研究では、特異的なシナプス接着が行われる機構ならびにシナプスの可塑性に関わる機構を、細胞形質膜同士を結合させる機能をもつ接着分子カドヘリンと、シナプスの形態的可塑性の観点から検討した。海馬の興奮性ニューロン上につくられる興奮性シナプスは、神経活動によって伝達効率が増すシナプス長期増強(ある種の記憶・メモリーである)を示す。われわれの研究ではこのとき、シナプスの形態そのものが変化を来たし、シナプス機能の増強に伴い、シナプス伝達を行う接着面積が拡大することを見いだした。このシナプス接着部分の接着を担うN-cadherinというカドヘリンが、シナプス活動でその機能を変化させ、接着面積を拡大させる現象に必須の働きをになっていることが分かった。またこの海馬興奮性シナプスには、神経活動で合成誘導されるArcadlinというカドヘリン接着分子が集積し、普段から存在するN-cadherinを巻き込む形で、細胞表面から細胞内へ移動する。その変化に従って、p38MAPキナーゼと呼ばれる細胞内情報伝達分子に至る経路が活性化し、シナプスの形態に変化を及ぼす(形態的可塑性)メカニズムを見いだした。
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Research Products
(3 results)