2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞は何故分裂しないのか?-神経幹細胞の増殖と未分化性維持のシグナル交差点
Project/Area Number |
17500255
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
鹿川 哲史 熊本大学, 発生医学研究センター, 助教授 (50270484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 健史 熊本大学, 発生医学研究センター, COEリサーチアソシエイト (60398237)
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Keywords | 神経幹細胞 / 細胞増殖 / 未分化性維持 / Wnt / FGF2 / Notch1 / GSK3β / Hes1 |
Research Abstract |
WntとFGF2シグナリングは共に神経幹細胞の分裂を促進し、未分化維持に機能している。申請者は、準備研究の段階でWntとFGF2に共通する増殖シグナル経路を検索し、GSK3βの不活化を介して神経幹細胞の分裂が促進されていることを明らかにした。本研究では、WntとFGF2に共通するGSK3β以降のシグナリング経路が幹細胞の未分化性維持にも機能するいくつかの証拠を得た。すなわち、神経幹細胞を豊富に含む神経上皮細胞培養系にFGF2を添加すると、Hes1およびHes5 mRNA量が増大した。この現象はGSK3βの阻害剤添加によっても再現された。一方、GSK3βを恒常的に活性化させた神経上皮細胞は自己複製能に障害を示した。この分子メカニズムとして、GSK3βがNotch1細胞内ドメインまたはRBP-Jκをリン酸化し、その転写活性を調節している可能性が考えられたが、FGF2添加後もNotch1のリン酸化状態に違いは検出されなかった。一方、GSK3βの下流標的の一つであり核内で転写活性化因子として機能するβカテニンを神経上皮細胞に強制発現させると、Hes1遺伝子プロモーターが活性化されることを見出した。さらに、FGF2刺激によって増殖している神経上皮細胞からβカテニンとNotch細胞内ドメインが免疫共沈降されることもわかった。以上の結果から、WntやFGF2刺激による神経幹細胞の増殖促進と未分化性維持の両立にはGSK3β以降のシグナリング経路が関わっており、その分子機構としてGSK3βの下流標的の一つであるβカテニンがNotch細胞内ドメインと複合体を形成しHes1遺伝子発現を促進していることが示された。'
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Research Products
(7 results)