2006 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類ES細胞から分化誘導した神経幹細胞の自己複製・神経分化制御機構の解明
Project/Area Number |
17500256
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
井上 順雄 首都大学東京, 健康福祉学部, 教授 (50159985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 孝 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (90150060)
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Keywords | 胚性幹細胞 / ES細胞 / 神経分化 / 神経幹細胞 / 神経細胞 / アストログリア細胞 |
Research Abstract |
我々が確立したマウスおよびサルES細胞の神経系細胞への分化誘導法(NSS法)を、ヒトES細胞に適用した。ヒトES細胞のコロニーは、アストロサイト条件培地(ACM)中で浮遊培養することによって、Neural Stem Sphere(NSS)を形成し、神経幹細胞への分化が起こった。さらに、NSSをACM中で接着培養することにより、神経細胞へ分化させることが出来た。このとき神経細胞のマーカー遺伝子が発現することも確認した。一方、マウスES細胞を用いた解析により、NSS法による分化誘導には、ES細胞を単離せずにコロニーのまま浮遊培養することと、ACMを使用することの両方が必要であることも明らかにした。また、プロテオーム解析によって、NSS法によってES細胞から神経幹細胞に分化する過程において、特徴的に増加するいくつかのタンパク質を同定することができた。さらに、神経幹細胞を増殖させる因子である塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を除去することによって、細胞分裂していた神経幹細胞が選択的にアストロサイトへ分化誘させることにも成功した。サルES細胞を、神経幹細胞を経て神経細胞へ分化させる過程で変化する遺伝子発現について、ヒト遺伝子DNAチップを用いて解析することにより、既知および未知の遺伝子を多数同定した。これらの遺伝子のうち、細胞分化に伴う既知の遺伝子の発現の変化は、それまでに明らかにした典型的なマーカー遺伝子の発現の変化の結果を支持するものであり、この分化誘導法によってES細胞が一方向的に神経系細胞へ分化することを確認することができた。さらに、サルのNSSを長期間浮遊培養することによって、NSS中にチロシン水酸化酵素を発現する神経細胞が出現することも見出した。
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