2005 Fiscal Year Annual Research Report
セリンラセマーゼ・ノックアウトマウスの作出とD-セリンの神経系における機能の解明
Project/Area Number |
17500258
|
Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
金野 柳一 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (30129043)
|
Keywords | セリンラセマーゼ / ノックアウトマウス / D-セリン / NMDA受容体 / キメラ / ES細胞 |
Research Abstract |
ヒトや動物の脳には非天然型のD-セリンが多量に存在している。このD-セリンはN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体のコ・アゴニストとして神経伝達を増強すると考えられている。D-セリンはセリンラセマーゼによりL-セリンから合成されると考えられているが、この酵素の働きについてはよくわかっていない。そこでセリンラセマーゼのノックアウトマウスを作出し、この酵素の欠損がどのような作用を及ぼすかを解析する。 セリンラセマーゼ・ノックアウトマウス作出のため、129Svマウスのゲノムライブラリーをスクリーニングして、セリンラセマーゼ遺伝子をもつクローンを単離した。そこからサブクローニングにより破壊する遺伝子部位の上流域と下流域を増幅した。その遺伝子領域を遺伝子破壊用のベクターに組み込んだ。ベクターを直鎖状にして、エレクトロポレーションによりES細胞に導入し、ネオマイシン耐性クローンを得た。サザンハイブリダイゼーションにより、セリンラセマーゼ遺伝子と相同組換えを起こしているヘテロ接合体クローンを5株得た。この5株のESクローンをC57BL/6Jマウスの胚盤胞初期胚ヘマイクロインジェクションし、それをマウスの子宮に移植した。その結果、2株のESクローンについてオス1匹とメス4匹のキメラマウスが誕生した。このオスキメラと野生型C57BL/6Jメスを交配させたところ、アグーチ毛色の仔マウスは得られず、ジャームライン・トランスミッションは起きていないことがわかった。そこでエレクトロポレーションをやり直し、相同組換えを起こしたヘテロ接合体クローンを新たに5株得た。正常な核型をもつES細胞が実験を成功させる秘訣というので、現在、核型を分析中である。正常な核型のES細胞株であることを確認した後、胚盤胞初期胚にマイクロインジェクションし、キメラマウスを作出する予定である。
|